The invisible story 2 (ページ49)

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第93話ページ49

ルークside

ルーク「…」

彼は恥じらう訳でもなく、ただ淡々と作業のように制服の上半身部分に手をかける

きっと彼はこういうのに元から抵抗はないんだね

見られる事に対しても、自分を隠す事にもそこまで抵抗はない

むしろ初めから毒を吐いて近寄れる相手を選定している

それはきっと彼が虐められていたという事実と重なるのだろう

人を選んで、近付いて来ようとする相手とだけうまくやる

孤独を選んでしまっていると言えばそれまでだけど、その身体に刻まれる酷い傷跡が彼をどうしてここまで冷たくしてしまったのか物語っているようだ

『…背中にある傷は切られたものです

…腕のは気にしないでください』

ルーク「腕のは自分でやったという事だね？」

『…えぇ、まぁはい』

それといくつか気になる点があるね

ルーク「…少し身体が骨張っているね

食べ物は食べられていないのかい？

そのいじめが原因で少し精神的に参ってた時期があると私は推測するけど…」

『…』

どうやら私の勘は外れていないらしくて、ここまで来て彼は素直に全てを話してくれた

『…ミドルスクールに行けていない間に、精神科に罹ってはいました

誰も味方がいない中で、周りは僕が変だって、病気だって言っていたんです

僕は自分が病気でないって言い張り続けて、何も食べなくても自分を傷付けても何も感じなくなって…』

ルーク「…」

ストレスが閾値を超えてしまって異常がどこからなのか分からなくなってしまったんだね

君は器量が良くて自分が頑張れると思い込んでいるから、君自身が傷付いている事に気が付けなかったんだ

だけどそれが病気かと言われるとそれも難しい

君は少し「良く出来過ぎている」

普通には耐えられない事に今まで耐えられ続けるだけの強さがそこにあって、それが余計に君を強くしてしまって自分を破滅させていると自分で気付けなかっただけだ

ただ、君が自分の腕を傷付けてしまったり食事も食べられなくなってしまって命に支障が出ると判断されて、それが精神的に異常をきたしていると客観的に判別せざるを得ないのも事実

君は何も悪くないよ

でも、君を認められるほど周りは強くない

君が強すぎるあまりに君を怖いと思ってしまっていたんだよ、きっと

ルーク「…ありがとうね

ところで君は一体何なら食べられるかな？」

私はその後ある提案を持ちかけるために、会話を続ける選択を取っていた