The invisible story 2 (ページ42)

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第86話ページ42

いや、まず起き抜け第一声で自分の事が嫌いかどうか聞くのも変は変だと思う

でもこの場をやり過ごしたいという防衛本能から僕はとりあえずまともに会話を交わすという選択を取る

『…別に、僕はヴィル先輩に隠し事はしていませんし…

ヴィル先輩の事を特別嫌ってもいません

むしろ尊敬しています』

ヴィル「…」

いや、これは真実

真実だしまるで嘘はない

媚を売るつもりでもない

ヴィル「アタシはそんな答え求めていないの

アタシは貴方に話をしてもらいたいのよ」

『…え…？』

そんな事言われてもとりわけ話す事なんかない

それに何が逆鱗に触れているのか全く分からない

何か変な勘違いを生んでいる事だけは分かる

何が知りたいの？

食事が摂れないって話が聞きたい訳？

『えっと…話すって何を…？』

ヴィル「貴方の抱えている事よ

食事もまともに摂れないようじゃ色々やっていけないでしょ」

いや、正論だけど僕は別に今の所困ってはいない

何だか面倒な事になっているのだけはよく分かる

何、そんなに逐一自分の健康状態を他人に知られていないといけないの？

この世の中って

『…僕は何も抱えていませんし、別に食事の件に関しては特に問題ありません

ただ、あまり食に拘りがないっていうだけで…』

ヴィル「…」

いや、多分余計怒らせてるな

それは分かるけど僕の方にだってとりわけ悩みがある訳でもないんだし、こういうやり取りがあまりに不毛な事はよく分かる

それに正直めんどい

そんな事別に気にしなくて良いでしょ

ヴィル先輩に何も関係ないんだから

ヴィル「…あぁそう

ならこっちも強行手段に出るわよ」

『…え…？』

そう言うとヴィル先輩は怒ったように僕に手を伸ばしてきた