The invisible story 2 (ページ40)

今日:12 hit、昨日:20 hit、合計:48,100 hit

第84話ページ40

ヴィルside

ジェイド「…いえ、少し彼を運んでいる時に思った事なのですが…

彼がモデルをやっているにしては、少し異常に身体が軽いかと思いまして

拒食症の類を僕は疑っているのですが…その辺についてはご存知で？」

何、それ

アタシそんなの知らないわよ

Aが拒食症？摂食障害？

…何で？

ヴィル「…少し貸して」

ジェイド「えぇ、気を付けて抱えて下さい」

ジェイドからAを受け渡されて、アタシはAをお姫様抱っこの状態にする

ヴィル「…！！」

ジェイド「…モデルというのはここまで痩せる必要はありますか？」

確かに軽いわ

体重と身長があまりに不釣り合い

身長の割に軽すぎるのよ

モデルをやっているからってこれはおかしいわ

だいたい貴方モデルが本業じゃないじゃない

舞台が本業で、そっちでは全身で役を演じたり歌を歌ったりして相当な体力を使う

この身体でそんな事ができると思えないわ

ヴィル「…教えてくれてありがとう

この子に聞いてみるわ

何か悩みがあるなら話すように伝えて…」

ジェイド「えぇ、宜しくお願いします

ヴィルさんでなければおそらく話しにくいのではないかと思いますし

…Aさんの寮長は、他でもないヴィルさんですから」

ジェイドはアタシを信頼しているように笑ってそう言う

アタシも信頼されているという事実に少し責任感を感じるわ

今まで何も知らないでいたから

ジェイドに言われるまで、この子に無理矢理でも色々聞き出したりしなかったから

そうするべきではないと思っていたから

アタシは純粋にAの事を本心で認めているし、後輩として心配している

あの子昔から何か影があるし、何か言いたい事が言えない立ち位置にいつもいるように思えたから

でも向こうもきっとアタシがどんな相手か分かった上で気を遣っていて、なかなか心開いてくれないのよね

本心で話がしたいのよ、アタシだって

これは良い機会をもらったわね

教えなさい、全部

アタシは貴方の味方よ

…信じてちょうだい

ヴィル「…Aに伝えておくわ

貴方がここにわざわざ運んできてくれたって」

ジェイド「いえ、お気になさらず

僕はただやるべきと思った事をやっただけですので」

ヴィル「…そう…今度礼を言わせに行くわ

色々ありがとうね」

自分がジェイドの掌の上で転がされているという事実に気が付かないままに、アタシはAと向き合う覚悟を自分の中で決めていた