The invisible story 2 (ページ17)

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第61話ページ17

いや、まず状況を整理させて欲しい

何で僕はこのよく知りもしない人にどこかへ連れて行かれているのか

そして不穏な台詞から察するに、この後碌な事は起きない事が明白だ

助けが来ないって、何か悪い事がこの後起こるとしか言いようがないだろう

一体何で僕はそんな変な事に巻き込まれている！？

いや、本気でやめてほしい

そんな事に巻き込まないで

僕もうあんな思いはしたくないんだ

そうやってきっとこの人も僕を傷付けて－－－－

『…はな、してください…！！』

抱えられたまま必死で抵抗しようと、ついその人の肩を押して逃げ出そうとする

でも向こうが僕の腰と尻あたりにしっかり腕を回してがっちりと抱き止めてしまっているせいで碌な抵抗もできない

むしろバランスが崩れて僕1人だけが怖い思いをするだけだ

ていうかこの人体幹良すぎか？

何で僕がここで暴れてるのに微動だにしないの？

怖いんですけど

なんか身体でかくて男らしいし

『…ッ…！？』

そして後ろを振り向いている状況だから言える事だが、僕が通って来た道に誰1人として他人がいない

本当に目撃者がいないのだ

一体この人は僕をどこへ連れて行く気？

そして一体着いた先で僕に何をする気なんだ？

全く分からない

分からないから冷静でいられない

『…僕を、どこに連れて行く気ですか…？』

フロイド「うん？

オクタヴィネル寮だよぉ」

『…ッ…何で…』

フロイド「着いてからのお楽しみぃ

ほら、鏡舎に着いたよ

もう少しだから頑張って耐えてねぇ」

気付けばあっという間に寮へ向かうための鏡舎に辿り着いていて、僕は抵抗虚しくその誰かに抱えられたまま自分の寮ではない鏡を通り抜ける

フロイド「もーすぐ着くからねぇ

大人しくしてくれてありがとねぇ

俺抵抗されたらどーしてやろっかなって思ってたんだぁ」

いや、この人いちいち台詞が怖い

そしてこの笑みも怖い

何考えてるか全く掴めないから、この笑顔の裏にきっと間違いなく僕にとって不利益な事が隠されている気がして純粋に怖い

この人に僕何したっけ？

いや、もしかしてこの前先輩に喧嘩売ったから？

あれはサバナクロー寮の先輩だったけど、2年生の間で僕たちの噂が広がって、生意気な1年だからって目を付けられたとか？

『…ッ…！？』

バァンッ！！

その人は僕を抱えたままどこかのドアを蹴り開けていて、僕はそのドアの方向をその人に抱えられたまま振り向いていた