The invisible story 2 (ページ16)

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第60話ページ16

いや、待ってくれ

ついその手を振り払ってしまう

『…ッ…！！…あ…』

そしてこういうのって大体やってから後悔するのだ

そんな事しなければ良かったと

『…すみません…』

フロイド「謝ってばっかりじゃん

どーしたの？ずっとそこで地面に膝ついてる方が良い？

俺手貸してやろうかなって思っただけなんだけど」

『いや…その…』

フロイド「うん？」

『…いえ、すみません』

フロイド「別に良いよぉ

自分で立てるなら立って

俺待っててあげる」

いや、この状況が全く分からなくてついていけない

まず何で僕は手を振り払ったか

いや、それはその、何かされるかもしれないって反射的に思ったからであって

多分自己防衛という意味では正しい行為だろう

そもそもよく知りもしない相手に手を借りるのだって気が引けるし、ましてや「ついて来て」と言われてついて行くか？

知らない人には無闇について行ってはいけませんってエレメンタリースクールで習うだろう？

そういう事だ、これは

この人だからって話でなく、一般的に普通はそうするだろという対応をしただけ

なのに相手が勝手に話を進めるから僕も流石に訳が分からなくてどうすれば良いもんかと考えるしかない

『…えっと…？』

フロイド「…あはっ、良い子だねぇ自分で立って♡

じゃあご褒美♡」

『…ッ…！？』

いや、待ってくれ

何でこうなる！？

『…ッ…はな、して…ください…』

フロイド「やだ

だってここから移動すんだもん

…舌切らないように口閉じてた方が良いよ？」

『…は…？』

何故か抱きしめられたまま、僕はそう言われて次の瞬間に体に浮遊感が生まれるのを感じる

地面に足がついていない

抱え上げられている

『えっと…？』

フロイド「あ、ちょうど誰もいねー

ラッキー

…目撃者いねーなら助けに来る奴もいねーし」

『！？』

フロイド「じゃあ連れてくね

ちょっと俺走るから色々気を付けて」

『…ッ…待って…ッ…！！』

全く訳が分からないまま、僕は僕を抱えて廊下を全力で走り始めるその誰かにそう静止の声をかけていた