The invisible story 2 (ページ15)

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第59話ページ15

『え…？』

困惑のあまり僕はついそのぶつかった相手にそう独り言ちる

いや、真面目に考えて欲しい

まずぶつかって謝って次に来る台詞といえば「ふざけんな前見とけよ」と怒られるか「こちらこそすみません」と謝り返されるのが世の常であろう

なのに相手は「見つけた」と言って僕ににやけるような悪い笑みで笑いかけている

まるで僕を待っていたかのような、あるいは待ち伏せて狙っていた奴が言う台詞と表情だ

その相手は僕よりも一回り大きくて、今自分が地べたに膝ついてる状態だから足が非常に長く見えてどこか存在感と威圧感が滲み出ている

ターコイズブルーの髪、黄色とオリーブ色のオッドアイ、そして口元は三日月のような形をして口角を上げ、ギザついた歯がそこから見えていて、見た目だけで人を判断するなとよく言うにしたって絶対にぶつかって良い相手ではない事は明白だ

喧嘩売ったら最後僕の人生終了しかねないような相手に僕はぶつかってしまった

なのに言われた台詞とこの状況の異常さで困惑のあまり僕も変な言葉を吐く

『…僕を、狙って…？』

フロイド「うん？」

『…あ…』

ハッとして僕はつい変な台詞を言ってしまった事に反省して、そのニコニコと笑っている相手にちゃんと丁寧な対応で許してもらおうと冷静な思考に立ち返る

『…すみません、その、お怪我とかは…？』

フロイド「してねーよぉ、そっちこそ大丈夫？

派手にコケたねぇ」

相手はそう言って面白おかしそうに笑っていた

フロイド「それより補習もう終わってんだよねぇ？」

『え…？』

フロイド「クラゲのお友達に聞いたよ

名前なんだっけ、セレン・ジェリシア君？」

『…ッ…！？』

相手が自分を知っている、いや知り尽くしているような感じがするこの台詞に、僕は純粋に疑問と恐怖を抱いていく

僕の周りの人物まで掌握している事実に恐怖を抱くなと言う方が無理だろう

ストーカーかなんか？

『…あ…』

いや、違った

よく見たら相手はオクタヴィネル寮の色のリボンを腕につけている

『…オクタヴィネルの…』

フロイド「うん、俺オクタヴィネルの2年生

話は後でゆっくりするからさぁ、とりあえずついて来てくんね？」

相手は痺れを切らしたようにそう言って、僕に手を伸ばし始めた