The invisible story 2 (ページ13)

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第57話ページ13

クルーウェル「Good boy、帰って良いぞ」

『…ありがとうございます』

補習は無事終わって、僕は実験服から制服に着替え始める

今日の補習は毒の錬成

毒自体は全く強力なものではなくて、ただ単に魔法薬学の触りとして魔法で毒を生み出すという技術的な練習のために行っているごく簡単な毒の錬成という話である

僕は別に毒の錬成は好きでも嫌いでもない

でも正直こういうのを作り出せてもなとは思う

誰を殺すわけでもないんだし

いや、自分が死ぬ一つの手段として身につけておくのは悪くないのか

自分は毒で死ぬのか

自分を殺すための毒作りを僕は手段として身につけようとしているのか

『…』

いや、そうではないか

僕の寮の寮長は毒の錬成が一番上手い人がなるという決まりがあるらしい

だから毒作りが上手いという事が寮長になるための必須条件で、皆の計画に乗るならば必然的に僕は毒作りが上手くなければならない事になる

僕毒なんて好きでもないのに

その決まり自体微妙におかしいと思う

でも毒は簡単に作れてしまう

皮肉にも好きと得意は比例しないで、別に好きでなくても毒作りが難しいと思わない僕としては、そんなので寮長になれるのかよと思ってしまう所がある

多分誰でも寮長になれるよという裏の意味もこの中には含まれているのだろう

毒を作れるなら寮長になれる、そういう対価交換のようなものだ

それをやるかどうかは人次第だと思うけど

僕がそれをやりたいかと言われると微妙だ

そんな事して寮長になったって別に嬉しくないし

そういう理由もあって僕は寮長になる計画にあまり本気を出したいと願えない

そうなるならまぁその時の流れに合わせてそうするか程度で、積極的に毒作り上手くしてみようと純粋には思わないのだ

ていうか冷静に怖いでしょ、そんな奴

それに毒って毒と思っていないで作っても、簡単に人に何かしらの要因で効いて毒でもないものを毒にする事だってできる

薬も然りかもしれない

それに単に人間を殺したいだけなら毒なんてどうにでも作りようがあると思える

死ねば良いんでしょ？

そこに遠慮とかどこに作用してどうとかそういうのがいらないなら毒なんていくらでも強化できる

『…失礼します』

そんな下らない事を呆然と考えながら、僕は片付けを済ませて帰る準備ができたところでクルーウェル先生に挨拶していた