Verweile doch, du bist so schoen 7 (ページ26)

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第306話ページ26

一郎side

一「…左馬刻も同じ？」

左「あ？俺？

…俺はもう慣れたわ

この世が平等なんてもんに恵まれちゃいねぇのも、平等じゃねぇから皆がうまく生きられるっつーのも

皆が平等ってのは皆自分の生活は自分でって結論に至る事で、そこに犯罪は存在しねぇんだ

皆自分のためにしか生きねぇんだし、他人の事なんざ気にしてられねぇだろ

それがある意味では平和なのかもしれねぇ

けど、それだとうまく俺らを存続させられないから俺らは誰かに頼って生きるって結論に逃げるんだ

それも俺達の生存戦略の一つなんだよ、人間は自分にできない事は人に任せちまうの

ずりぃだろ？」

乱「…狡いけど、しょうがないよ

1人で生きられるほど世の中簡単じゃない

他人の温かみが欲しいって事だってあるし、誰かの笑顔を応援したいって気持ちもある

そのために誰かを不幸にすると知ってたって、そこで手を出さなければそいつを救えないんだ

平和になりたいと願ったって、平和になるために争いは避けられない

そういうものだと思う、世の中は」

一「…乱数…」

乱「…話が複雑になりすぎだよ

一郎がどうしたいか次第じゃない？

一郎はこの世界に生きる魔族の王様として、魔族に何を求めるの？」

一「…俺、は…」

俺は魔族に何を求めるのか

何をすれば正しいのか

分からないけど、俺自身の願いはきっと決まってると思う

もう不幸になる人間を増やしたくないって気持ちがあるんだと思う

おふくろ死んだのは元は魔族という言葉が存在した事が原因だから

だから俺らのせいで不幸になる相手が増えないようにするのが俺の求める結論なんだろう

そので距離を取って人間に任せるって姿勢もある意味で正しいってのは分かる

でもそうじゃなくて、きっと俺たちの中にある壁が祓われて、皆幸せになれる世界が来ると俺は信じる

いや、信じていたい

信じて、そのために俺は動きたい

一「…親父と同じように、この世界の魔族は守るけど俺だけは動くよ

弟には魔族を任せて、俺は人間とうまく混ざれる世界を作りたい

それでいつか、守ってやってる魔族に人間の生き方を見せて、人間ってすげぇって知ってもらいたいよ

俺、人間には期待していたいんだ、たとえ嫌われても…」

俺は涙が出てきて、乱数はそんな俺を抱きしめてくれていた