過去編13 ページ28
やがてリンゴを食べ終え、俺はシグルドにある試料を見せ、それについて議論していた
ルシファー「どうもこのコアは成長が悪くてな…
成長が終わる前にこうしてただの石ころになってしまう」
『…そうなんだね、どうやって作っているんだい?』
そしてシグルドにその合成法を伝えると、シグルドは少し考えてこう答えた
『なるほど…ではメルクマール島の生物の羽を入れるとどうだろうか?
…ああ、生け捕りじゃなくて、自然に落ちたものを』
俺はその答えを聞き、またこの男は面白い事を思いつくと思った反面、ある違和感を抱いていた
シグルドの言っている生物は、自然に羽など落とさない
また動きが速いため、羽を手に入れるには捕まえて手にかけ、その後毟るより他ない
そう思ってそう答えると、シグルドは「そうかもしれないけれどそれは止してほしい」と言った
俺はその返答にまた疑問を抱き黙って首を傾げていたが、シグルドはそれを見てこう答えた
『どうも私は騎士の身であるにもかかわらず、何かに手をかけるのは苦手なんだ…
こんな私が剣を握るなど、可笑しな話だろう?』
ルシファー「シグルド…?」
シグルドの表情は笑ってこそいたが、疲れているためかどこか不安定であるような気がした
しかし俺がシグルドを呼ぶ声に構わず、シグルドはこう続けていた
『…本当は剣など握らず、ただ1人の人の子として民と、そして友と語り合いたいと願っているんだ…
けれど我が王の騎士となった以上、それは許されぬ事…いずれ私は王から正式に称号を受け、民から畏れられる存在となる
王の近くにこの身を置き、この剣で王を守り、世界を救うために時に冷酷に裁きを与えなければならない…
…でも、本当はそんな事したくはないんだ…
私には愛する民に手をかけるなどできない…』
俺は黙って聞いていたが、シグルドはややあってこう言った
『…私は君のように生きたかった…
…私達は同じ星の民なのに、何故こうも違うのだろうね…』
その顔は、笑っていなかった
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ユウ(プロフ) - あんこさん» あんこ様、最後までお読みいただきありがとうございます!ファーさんがキャラ崩壊してる感が否めませんがお楽しみいただけましたなら幸いです。拙い文にもかかわらずお読みいただき、またコメントまでいただき本当にありがとうございました! (2020年7月30日 19時) (レス) id: 9d1d0ddeab (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 今更ながら一気に読ませていただきました。設定が作り込まれていたりと、とても面白かったです。 (2020年7月21日 0時) (レス) id: 895fb63929 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - のあ´ω`)ノさん» なんと…最後まで読んでいただき、ありがとうございます!分かりづらい話だったと思いますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです! (2020年3月8日 3時) (レス) id: 9d1d0ddeab (このIDを非表示/違反報告)
のあ´ω`)ノ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったし、通知が来る度に画面に飛びつくぐらいこの小説の更新が楽しみでした。面白い作品ありがとうございます! (2020年3月8日 3時) (レス) id: 4ad0e9371b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウ | 作成日時:2020年3月8日 2時