過去編11 ページ26
それからも何度か公務がある時はシグルドは俺の研究室へ立ち寄ってくれた
そしてそうでない時はいつもの場所で夜に会い、日々研究について議論を交わした
だがある時からシグルドは俺と会うことが出来ない、と言い始めた
何故か、と問うと公務で忙しく夜も時間がないからだ、と言ってきた
だがそう言う顔も笑ってはいたものの、やはりどこか憂いを含んでおり、本当にそうしたい訳ではないように見えた
一体、その顔の裏に何を隠している−−−−?
気になった俺は何度か昼に隣国へ赴き、シグルドの様子を遠くから観察することにした
ある時は姿すら見かけず、住民に聞くと公務で外出していて不在らしいと伝えられたが、大概の日は初めて見た時と同様、シグルドは民達と笑顔で会話を交わしていた
またそうでない時はシグルドは王であろう黒衣の男と会話をし、やはり笑顔を向けていた
その笑顔はどれも、俺がよく知る作り笑いのような笑みであり、本当の笑顔ではないように見えた
何故、そんな顔をする
何故、いつもお前は笑っている
そんな疑問を抱き、いつしか俺はこんな感情を抱くようになっていた
シグルドは俺の前だけで笑えば良い
シグルドは俺の隣にいる時だけ、本当の笑顔で笑ってくれれば良い
シグルドに教えを乞う民達も、シグルドと会話をする王も、皆邪魔だ
シグルドは俺だけの隣にいて、俺だけと話をしてくれれば良い−−−−
いつしかシグルドに対する感情は、「友情」でも「愛情」でもなくなり、「執着心」へと変わっていった
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ユウ(プロフ) - あんこさん» あんこ様、最後までお読みいただきありがとうございます!ファーさんがキャラ崩壊してる感が否めませんがお楽しみいただけましたなら幸いです。拙い文にもかかわらずお読みいただき、またコメントまでいただき本当にありがとうございました! (2020年7月30日 19時) (レス) id: 9d1d0ddeab (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 今更ながら一気に読ませていただきました。設定が作り込まれていたりと、とても面白かったです。 (2020年7月21日 0時) (レス) id: 895fb63929 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - のあ´ω`)ノさん» なんと…最後まで読んでいただき、ありがとうございます!分かりづらい話だったと思いますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです! (2020年3月8日 3時) (レス) id: 9d1d0ddeab (このIDを非表示/違反報告)
のあ´ω`)ノ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったし、通知が来る度に画面に飛びつくぐらいこの小説の更新が楽しみでした。面白い作品ありがとうございます! (2020年3月8日 3時) (レス) id: 4ad0e9371b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウ | 作成日時:2020年3月8日 2時