3000年の執着心5 (ページ10)

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第203話ページ10

母「ただいま、シグルド」

『おかえりなさいませ、母上』

母上がやがて沢山の果物を持って家に戻ってきた

母「パレント島は便利な島ね…ユリア様のお陰でこの空域のどの島にも行き来できるから沢山果物が取れたわ！」

『…良かったですね、母上』

母「あなたも食べなさい、シグルド」

『ありがとうございます、では…』

そう言い私は母上が持ってきた果物に手を伸ばし、口に入れようとするが－－－－

「－－－－ならぬ」

『…？』

「－－－－それを口にしてはならぬ」

母「どうかしましたか？シグルド」

ある果物を食べようとして、誰かがそれを止めるような声が聞こえた

『…いえ、母上…

ですがこの果物はどうも私は苦手みたいです』

母「あら、口にもしていないのにどうして…？」

『いえ、分かりません…

ですがたまに聞こえるのです、これを口にしようとすると「ならぬ」と止める声が…』

私がそう言うと、母上は私を見て驚いていた

母「…やはりこの子は…」

母上はそう小声で言っていた

『…母上？』

母「…いいえ、何でもないわ

それが苦手なら他の果物を食べると良いですよ、シグルド

さあ、召し上がれ」

『ありがとうございます、母上

では…』

そう言って私は他の果物を食べた

その出来事以降私はその果物－－リンゴを口にすることはなかった