3000年の執着心5 (ページ9)

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第202話ページ9

以下、シグルドside

母「シグルド」

私は母上に、そう話しかけられる

もっとも、私には過去の記憶がなく、この方が本当の母上なのかどうかは分からないが、私はこの方に拾われ「私があなたの母よ」と言われたためそれを信じて生きてきた

母「シグルド、何をしているのかしら？」

『本を読んでいるのですよ、母上』

母「相変わらず立派な子ね…

ねぇシグルド、あなたは大きくなったら何になるのかしら？」

『そうですね…私もまた他の星の民同様、研究者になりたいと思っています

そして仲間と、そして友と高め合い、議論し合い…そう言った生き方を望んでいます、母上』

母「なるほど…素敵だと思いますよ、シグルド」

そう言うと母上は私の頭を撫で、にっこりと笑った

母「私、少し出かけてくるわね」

『どちらまで？』

母「少し果物を採取しに隣の島まで、ね」

『パレント島、ですか…？』

母「ええ、じゃ、行ってくるわね」

そう言い母は出かけて行った

私は家に残り、本を読み続けていた

『やはり星晶獣というのは興味深い…

いずれ私もその誕生の瞬間を見てみたいものだ…』

本の挿絵を見ながら、そんなことを独り言ちた

その時はまだ、自分がかの黒薔薇の王に拾われるとは想像もしていなかった