3000年の執着心5 (ページ39)

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第232話ページ39

そしてその数日後、私はまた報告書を受け取るため、星の民の研究所へ赴いた

王には「日が沈むより前に戻れ」と告げられていたため、私は今日中にルシファーにここへ来るのは最後である、と伝えなければならないと思っていた

報告書を受け取るとルシファーはまた研究所長の部屋の前で待っており、私を星晶獣の卵のある部屋へ導いた

ルシファーは私がもうここへ来られなくなるとは気付いておらず、いつものように卵の前でこう話した

ルシファー「…あと少しだ、シグルド

もう少しで俺の最高傑作が生まれる…

お前に、その誕生の瞬間を見せてやる」

私はそれを聞き、もうここへは来られないこと、そしてその星晶獣の誕生の瞬間は見る事が出来ない事を思い、胸を痛めながら黙っていた

私が黙っているのを見てか、ルシファーは私の顔をを見つめ、声をかけてきた

ルシファー「…シグルド？」

私はそれを聞き、ルシファーに話す覚悟を決め、話し始めた

『すまない、ルシファー…

私はもう、ここへは来られない』

ルシファー「…何を言っている…？」

ルシファーは私の言葉を聞き、訝しむような表情を浮かべた

私はその表情を見て覚悟が揺らぎつつも、意を決してこう話した

『…我が王の命により、ユリアとの結婚が決まった

婚礼は3日後…それと共に私は我が王から騎士の称号を正式にうけ、公務を遂行するために城へ入る…

…もうこうして城の外へは出られなくなる

だから今日が、君と会える最後の日だ…』

するとルシファーは驚いたような、そして怒ったような顔をしてこう答えた

ルシファー「…っ何を、言っている…？

っ俺はお前に、これの誕生の瞬間を見せると約束したはずだ…！

その約束を忘れたとでも言うのか！？」

私はそれに対し、申し訳なさを覚えた

忘れてなどいる訳がない

私も叶うなら、その約束を果たしたかった

でもそれは、叶わないから－－－－

『…すまない、ルシファー…』

私はただ、謝ることしかできなかった

けれど私は、最後くらいは、と思い笑ってそう答えていた

ルシファーはそれを見て、何か言いたげな表情をしていた

『…ユリアと我が王が待っている、私はそろそろ城へ帰るよ…

…いつかまたどこかで会おう、ルシファー…』

私はルシファーを制するようにそう言い、その場から逃げるように部屋を後にした

そして研究所を出ると、ユリアを呼んで王の元へ帰っていった