3000年の執着心5 (ページ37)

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第230話ページ37

ルシファー「ならお前は…その智慧を以てして住んでいた集落を救い、それだけの事で王に見初められ、王に命じられるまま騎士となるべくこれまで生きてきたと言うのか…？」

『そうだ…

私はこれまで、王の命令に従うままに生きてきた…

私の意思などどこにもない…』

ルシファー「…っお前はそれほどの智慧を持っているのに何故王の命令に歯向かう事を考えなかった！？」

『王の命令は絶対だ…

それに私はその当時独り身の幼子…王に歯向かう理由などなかった…』

ルシファー「…っだがお前はそれで良かったのか！？

お前の世界は王によって狭められ、これまでもこれからもお前の身に自由を認められないなど…そんな事をお前は受け容れると言うのか！？

お前は－－－－」

『もう良いんだ、ルシファー

…私は王に拾われたあの日から、自分の望みなど叶わぬと知った上で今日まで生きてきた…

…でも君が私の友となってくれると言った時、私は救われたような気がしたよ』

ルシファー「…！！」

『私と友として、対等な関係で語り合い、議論し合ってくれるという事…そして私の望みであった星晶獣の成長、そして空の繁栄に対して私の考えを生かしてくれるという事…

君は私のそんな願いを叶えてくれた

それだけでも私は充分幸せだと思うよ』

ルシファー「…シグルド、お前は…」

『…だからルシファー、私が王から正式に騎士の称号を受けるまで、私と友であり続けてほしい…

…この願いを聞いてくれるだろうか？』

私は目を伏せながら、ルシファーを制するようにそう問うた

ルシファーは複雑そうな顔を浮かべ、私の顔を見つめた

ルシファー「…何を言っている？シグルド…

そんな事、当然であろう…

だがお前は－－－－」

『ありがとう…その言葉を聞けて嬉しいよ

…明日も早いし今日はもう帰ろう

またね、ルシファー』

私はそう言って立ち上がり、逃げるように城へ向けて歩き始めた

そんな私を、ルシファーは何も言わずにただ見つめていた