第228話 ページ35
その後ルシファーは「最近作った試料だ」と言って私に試料の入った瓶をいくつか見せてくれた
ルシファー「どうもこのコアは成長が悪くてな…
成長が終わる前にこうしてただの石ころになってしまう」
『…そうなんだね、どうやって作っているんだい?』
そう言うとルシファーはそのコアの作り方を教えてくれた
『なるほど…ではメルクマール島の生物の羽を入れるとどうだろうか?
…ああ、生け捕りじゃなくて、自然に落ちたものを』
ルシファー「なるほどな…だが奴らは自然に羽など落とさん
捕まえて毟る他ないだろう」
『そうかもしれないけれど…それは止してほしいな』
ルシファー「…?」
『どうも私は騎士の身であるにもかかわらず、何かに手をかけるのは苦手なんだ…
こんな私が剣を握るなど、可笑しな話だろう?』
ルシファー「シグルド…?」
疲れていたためか私はどこか不安定になっており、本心を吐露し始めていた
『…本当は剣など握らず、ただ1人の人の子として民と、そして友と語り合いたいと願っているんだ…
けれど我が王の騎士となった以上、それは許されぬ事…いずれ私は王から正式に称号を受け、民から畏れられる存在となる
王の近くにこの身を置き、この剣で王を守り、世界を救うために時に冷酷に裁きを与えなければならない…
…でも、本当はそんな事したくはないんだ…
私には愛する民に手をかけるなどできない…』
ルシファー「…」
そして私は叶わぬ願いを、恨み言のような形でルシファーに吐露してしまった
『…私は君のように生きたかった…
…私達は同じ星の民なのに、何故こうも違うのだろうね…』
ルシファーはそれを聞き、複雑そうな表情を浮かべた
それを見て私はハッと自分の言った事を思い返し、こう話した
『っ…ごめん、ルシファー
ちょっと疲れているみたいだ、変な事を言ってしまったね…
…今のは忘れてくれ』
私は笑顔でそう言ったつもりだったが、ルシファーはやはり複雑そうな顔を浮かべ、何も答えずにいた
『…そろそろ戻ろう、夜も遅い…
…どうしたんだい?何か答え−−−−』
ルシファー「シグルド」
ルシファーは私の顔を睨み、私の名を呼んだ
その顔はどこか怒っているようであった
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作者名:ユウ | 作成日時:2020年3月6日 16時