3000年の執着心5 (ページ34)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:16,839 hit

第227話ページ34

それからも私は公務がない日は鍛錬をし民と会話をし、公務がある際は他の島へ赴く等、次第に日々忙しくなっていき、ルシファーと会う機会も次第に減っていった

初めのうちは「何があった」と聞かれたが、「公務で忙しくている」と伝えると、ルシファーもそれを理解したらしく、あまり深くは聞いてこなくなった

だがある日、私は多忙な日々に疲れていながらもルシファーと会うため夜にいつもの草原へ赴いた

ルシファー「…顔色が悪いな、シグルドよ

そんなに忙しいのか？」

ふとそんな事を聞かれた

『君が言えた事ではないだろう？

君はいつも顔色が悪いと思う…無理に私と会わなくても良いのだよ？』

ルシファーはルシファーで日々研究に精を出しているためか、ルシファーはいつも目元に隈を浮かべ、顔色が悪かった

ルシファー「そんな事はどうでも良い…

…そうだシグルド、果物を持ってきた

俺は今日はまだ食事を済ませていなくてな…お前も食べないか？」

そう言ってルシファーは私にリンゴを差し出してくれた

『…ありがとう、ルシファー

でも大丈夫』

しかしながら私はそれが苦手であったため、そう答えた

ルシファー「何故だ？」

『王と共に私は食事を済ませてきたからね…

それに…どうも昔からそれは苦手なんだ』

ルシファー「リンゴが、か？」

『ああ…だから君が食べてくれ』

私がそう言うと、ルシファーはそのリンゴに噛り付いた

それを見て、私は何となくこう言っていた

『…君も物を食べるのだね…

…何だか君もちゃんと生きている人間、って感じがして安心するよ』

ルシファー「…突然何を言っている」

『いや…何となく、ね…』

ルシファー「…」

ルシファーは私の言葉には答えず、ただ黙ってリンゴを食べていた