3000年の執着心5 (ページ24)

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第217話ページ24

私は王に城へ連れ戻された後、剣の鍛錬をし、それが終わると一度湯浴みを済ませ、その後王と夕食を摂り、それらが全て終わると外は星の瞬く夜となっていた

『綺麗だな…』

幼子の頃は城の外から出る事は許されておらず、こうして外に出る事が許されるようになった今も、そう長い時間外へ出られる訳ではない

だからこそ私は、変化する空にいつも惹かれていた

特に青空は、私の心をいつも癒してくれた

『…それもいつまで見る事ができるのか…』

私はいずれ、正式に王から「黒薔薇の騎士」の称号を得て王から「黒薔薇の加護」を享受し、それに伴い王と同等の権力者となる

そうなれば私は王の側近として王を、そして世界を守るために王室に常に身を置き、外へ出ることは許されなくなる

そして王を、そして世界を守る剣として、私の愛する民達にとってその権力故に畏れられる存在となる

『…少し外の空気を吸いに行こうか…』

考えてはいけないと思いつつ、私はその生き方に疑問を覚え、それを忘れようと星の瞬く暗闇の中へ赴いた

そして花々の咲く草原で1人座り、そして空を見上げた

星がとても、綺麗だ

『…

いずれ私はこの空を見ることすら叶わなくなる…

…民と会うこともなく、ただこの身を以て世界の危機を救う剣となる…

…しかし…』

私は心の声を、独り呟き始める

『…私はただ民と、そして友と語り合いたいと願っている…

…力で制し、誰かを殺めるのではなく、ただ平和に語り合いたいと願っている…

…けれど王に遣える身として、それは決して許されることはない…

…そんな覚悟で剣を振るうなど、私は…』

愛する民に、剣を向けるなど

星晶獣の研究に関わる事もなく、あまつさえそれに剣を向けなければならない日が訪れるなど

民や星晶獣と穏やかに会話すことも叶わず、ただ畏れられる存在となるなど

私と対等に語り合える存在に出会う事のないまま、ただ王と世界のために剣を振るうなど

本当は、私はそんなことは望んでいない－－－－

ルシファー「－－－－おい」

『！！』

突如、私の背後から誰かの声が聞こえる

その方向を振り返ると－－－－

昼に見た、白い髪をしたローブ姿の男性が私を見つめて立っていた