第216話 ページ23
ある日のこと
その日もいつものように城の外へ1人外出し、多くの民達に囲まれ話をしていた
「シグルド様！以前教えていただいたように作物を育ててみたところ、前回よりも作物が大きく育ちました！
あなた様のお陰です！」
「シグルド様！母が疾病で苦しんでおりまして…
治すための方法について教えを乞うても宜しいですか…？」
「シグルド様！これ、前申し上げました首飾りですわ！
あなた様によくお似合いだと思いますの！どうか、身につけてくださいませんか？」
「シグルド様！−−−−」
そう言って民達は、私に笑顔で話す
私もそれに、笑顔で答える
しかしながら私は心のどこかで、多くの民に囲まれているのにもかかわらず孤独感を感じ取っていた
ふとそんな時、私は誰かがその様子を遠くから見ているのを見かけた
『…？』
見るとそれは白い髪の自分と同じくらいの若さの、おそらくは星の民の研究員であろう白いローブに身を包んだ男性であった
男性はただ遠くから私達の様子をじっと見つめており、その目はどこか羨望のような眼差しだったように思う
それに気付きつつも私は民達に次々話しかけられ、一度その男性から目を離し民達の言葉に答えていた
するとやがて民達はある一方を見て顔色を変え、私の前から慌てて立ち去っていった
そして民達が見ていた方向を見ると、そこには王がこちらへ向かって歩いてきているのが見えた
少し民達と長い時間話し過ぎてしまっていたようで、私を城へ連れ戻しに赴いたのであろう
『…我が王、如何されましたか？』
分かっていながらも、そう王に問うた
王「…シグルドよ、城内に戻れ
お前が民に対して友好的なことは良いが…お前の存在は本来そういうものでないことは分かっているだろう？」
王は私の予想通りの答えを返した
シグルド「えぇ…分かっていますとも
…仰せの通り、このシグルド、城内へ戻ります
そして鍛錬に励みますゆえ−−−−」
本当は民達ともう少し話がしたかったが、王からの命に逆らうわけにはいかないと分かっていたため、私はそう答え、王と共に城へ戻った
−−−−やはりどこか、王国の騎士である事に迷いを抱きながら
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作者名：ユウ | 作成日時：2020年3月6日 16時
