3000年の執着心5 (ページ18)

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第211話ページ18

そして学術に関してはこうである

前に話した通り、普段から本を読む事の多い私にとって勉学の時間に受ける教えは既知のものが多く、私は教官に「お前は優秀だ」と褒められることも多かった

そのため新たに知識を得るために1人書庫へ赴き、本を読む事も多かった

本を読んでいると、私は時にこう思うことがあった

『…空の繁栄のために星晶獣を生み出す…

…そのために研究者たちは日々頭を悩ませ、仲間と議論し合い、日々より良い答えを探している…

…私もその一助となる事はできないのだろうか…』

私は王国のため、そしてこの世界のために剣を振るう存在である

そのために私は王の臣下にあたる大人達に大切に育てられてきたものの、それは身分的に友や仲間とは言い難い存在であり、どこか孤独を感じていた

また剣を振るう身である故に星晶獣の創造に関与する事はなく、得た知識を使って何かに利用する機会はほとんどなく、ただ知識を有り余らせていたように思った

ふとその時、王の声が聞こえた

王「…シグルド、この時間まで何をしている」

『…！我が王…』

私がその時読もうとしていたのは、星晶獣の誕生に関わる本であった

書庫に現れた王は私の手元を見て、やがてこう告げた

王「シグルド…星晶獣の誕生について知り、その性質を理解する事はいかにも重要な事だ…

だがお前は我が剣となる身…故にそのような知識を多く身につけたところでそれを利用する日は訪れぬ…

多くの知識を求める事は良い事だが、そのような本より騎士として戦術や国の統治に関わる本を多く読みたまえ」

『はい…我が王よ』

私がそう答えると王は「明日も早い故疾く休め」と言い、書庫を出た

私は母上と暮らしていた頃から、星晶獣の研究に関わり、友と語り合う事を夢見てきたが－－－－

『一国の騎士としてそれは叶わぬ願い、というわけか…』

それはこの身分になった以上、願っても叶わぬ願いであると察した

『…いずれ時が経てばこの城の外に出ることができる日が訪れるのだろうか…

その時は多くの民と語り合い、願わくば友と呼べる存在に出会いたいものだが…』

叶わぬであろう願いを独り言ち、思い悩んでいた