3000年の執着心5 (ページ17)

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第210話ページ17

その日から私は、パレント島のその王の城で暮らすことになった

朝は毎日決まった時間に起き、鍛錬、乗馬、勉学…といった王国の騎士として恥のないよう最低限必要なものを身につけるべく日々励み、食事は王と共に取り、夜になってようやく自由な時間が取れ、これまでと異なり毎日変わることのない決められた生活を送っていた

勉学に関しては元々よく本を読む方であったため苦労はせず、むしろよく知ったことばかりで退屈とさえ思うことが多かった

逆に剣技の方は護身用に身につけていただけであったため、いざ一国の騎士として戦うには不十分であり、しばしの間苦労することとなった

だがある時から私はその生活に疑問を抱き始めていた

例えば、剣技に関してはこうである

鍛錬の際、王は私にこう言った

王「シグルドよ…お前の剣には迷いが多い

筋は悪くない上動きも決して鈍くはない…だが覚悟が足りぬ」

『…申し訳ございません、我が王よ』

王「シグルド…剣とは何のために振るうのか分かるか？」

私はそう問われ、こう答えた

『剣とは守るために振るうものです』

王「然り…剣とは守るために振るうものだ…何かを守るためには時に武力を必要とすることも多い

特にシグルド、この国は多くの星晶獣や民が他の島々へ行き来するために集まる…その民や星晶獣が皆我らの王国に良い思いを抱いているかどうかなど知り得ぬ事だ

時としてその剣で民を制し、時として冷酷に裁きを下さねばならぬ日も来るであろう…故にシグルド、覚悟を持ってその剣を振るえ

我が剣となるのであれば、尚更だ」

『…はい、我が王よ…』

私は騎士として、王を、そして民を守る剣となる存在である

だが何かを守るために何かを殺める事は、本当に正しい事なのだろうか

話し合い、互いを認め合う事で戦乱を防ぎ、国を守る事はできないのであろうか

『…』

王「シグルドよ、どうかしたのか？」

私の迷いに気付いたのか、王はそう話しかける

『…いえ、何でもありません…

このシグルド、王を、そして民を守るため精進いたします』

私は迷いを抱きつつもそう答えると、王は満足そうな表情を浮かべた

だがその後も迷いは消える事はなく、私は剣を振るう事に思い悩み続けていた