ウチとアンタと、キミの言の葉10

第378話 ページ8

簓side


アズール「…貴方がそれを言うんですか？」


簓「言うで？こいつ寝こけとるからなぁ」


そない言うて妹を抱えてこの腕に抱き込む


簓「よ、っと…

…寝こけとるなぁ、これやとどっちが子供やか分からんわ

兄ちゃんらの言うてる事も分かるで」


フロイド「…分かった気にならないでよ

何が分かるの？ゼッテー分かってねーくせに」


簓「分かるで

自由に寝こけて、自分だけ辛い思いせぇへんと勝手にやる妹がずっこいって思とるんやろ？

そこは兄ちゃんらに同情したるわ」


そない言うて、妹を抱きこんでその温度に触れる


静寂の中に規則正しい呼吸があって、安心して眠っているんやってよう分かる眠り方をしている


きっと今は良い夢を見て、明日がどんな日になるのかも知らないで寝こけているんやろ


色々あった今日という1日を何だかんだで無事終わらせて、ほんでまた明日からも生きられるように温度を失わないでエネルギーの回復に努める妹に、昔から感じている「自分より歳が下の妹を可愛いと思える心」を自分で感じる


簓「…ホンマ、いくつになっても妹は自分にとって子供に見えるもんやよな」


アズール「…知りませんよ

眠っているうちに帰られるのですか？」


簓「せやな、起きて「やっぱり帰らん」言われると俺も困るんや

帰ってやりたい事が色々あるんや、こいつも子供っぽい所あるけど俺もまだ全然足りへんくらい子供でな」


アズール「…」


簓「ずっこいんは俺も同じや

すまんな、兄ちゃんら

妹引き取っていくわ」


そない言うて腕に抱えた妹を持ち上げてその場に立ち上がる


眠っている間に世界を変えるのは少し悪いと思うけど、こういう風にやらないときっと妹はまた自分と違うものを見てしまう気がするから


だから時に俺かて狡賢く、戦略的に動くんは俺という人間の「個性(ユニーク)」だと思って受け入れてもらえればなんて思う


簓「ほんじゃ、ホンマにおおきにな

帰りは鏡がある部屋に行けばええんやろ？俺と妹で行くわ」


フロイド「…ちょっと待って」


簓「おん？」


キラッ…


簓「…！！」


フロイド「…おまじない、だよ

無事に帰れるよーにって俺からのおまじない」


1人の兄ちゃんは透明の石がついとるペンみたいなもんを唐突に振り翳して、まるで何かの魔法をかけるように妹に向けてそれを振って笑っていた

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