ウチとアンタと、キミの言の葉9 (ページ50)

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第372話ページ50

そない話をウチらでしとる時やった

監督生「…」

『…？ユウちゃん？』

監督生「…先輩は帰るんですか？」

微妙に何か言いたげな顔でウチを見る、ウチと前話をした女の子が目の前に現れる

『…迎えが来てもうたからな

帰る気はないん、けどしつこくてうるさいのがおるから仕方なく帰るだけやよ

そない顔せぇへんで』

監督生「…ッ…」

ウチが無責任な事を言うとるのは分かるけど、そないウチの事もウチは心で隠す

今のウチが笑っているのは「色々と苦しいから」なんやけど、そない我儘を相手に言える程ウチも子供心でいられない

我儘なんは事実やけど、ウチの我儘は「我儘を口にせぇへんと嘘ばっかり吐く」っていう意味合いや

悲しい顔をしないで、ウチで気を揉んでもらいたくないっていうんがウチの持ってる「心」の我儘

監督生「…先輩に「帰るな」って言うのは失礼って分かっているんです

でも…寂しいんです、1人でここに留まるのは心細いんですっ！」

『…1人やないよ

「半分」ウチが持っとる』

監督生「…！」

『ウチが半分ユウちゃんをウチの世界に持って行って、もう半分はここに置いていったる

ほんで、いつまでも1人きりでここにおるんやのうて、必要になったらウチを置いてちゃんと前向いて歩くんや

ユウちゃんはユウちゃんの大事なもんのある世界でしっかり生きるんやよ』

監督生「…先輩…」

『…我儘と嘘ばっかり言うんはウチの専売特許なん

ウチにできる事なんかそれ以外にないんやけど、それでもウチの事許してや

ごめんな、期待裏切ってもうて』

監督生「…裏切ってなんかいないです

先輩はいつも強くて、そして心強い味方です…！」

『…』

監督生「先輩、私は先輩の事忘れないから先輩も私を忘れないでください…！

先輩がいなかったら私ずっと1人で苦しかった…だから別れるのが嫌なんです！」

『…せやね、ウチもユウちゃんに出会えて良かったで

ええ子やな、ウチと出来が違うわ』

監督生「…泣いて良いですか？

そんな事言われたら私…」

そない話をしていると、ユウちゃんは涙を流し始める

監督生「…先輩、好きです」

『…』

監督生「好きですっ！

私、先輩みたいに強い大人になれるように頑張りますからっ！未来で待っててくださいねっ！」

『…応援しとるで』

ウチはウチとは違う場所から来た、自分と境遇の似ている女の子に声援を送って慰めるように肩を叩いていた