ウチとアンタと、キミの言の葉9 (ページ36)

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第358話ページ36

そしていざ2人きりになって、久しい再会なんに約1年前のあの日に戻って来たみたいな感覚に自分が襲われる

本当は元気なAに会うて、「帰ろう」言うて手を繋いで帰る気でいたんに、実際の所はそんなに楽に話が進む訳ではないんやななんて俯瞰して思う

簓「…Aちゃん、一緒に帰ろや」

笑って、あの日の自分と同じように優しくただ妹に語りかけるようにして話をする

答えるか答えないかは分からないけど、答えの返る事を期待して話してみるしかない

簓「…目ぇ開けてや

ここまで迎えに来たんに、向こうとこれやと一緒やん

何でや、なぁ、一緒に話しよ

さっきまで言葉紡いどったやん…」

言うてるうちにだんだん耐えられなくなって、あの日と同じように泣きそうになる自分がいる

終わりなら終わりとそう伝えて欲しい

続くなら一緒に夢を見続けていて欲しい

今という瞬刻が刹那の煌めき以外の何者でもないのなら、一瞬でええから良い夢を見せてほしい

折角ワンダーランドまで来たんやから、夢くらい見せてや

簓「…ッ…嫌やよ、俺は

Aちゃんのおらん世界なんて…」

言うて、そしてこの腕に妹を自分で抱きしめる

簓「A、盧笙もおったあの日の時間好きやったんやろ？

俺、あの日お前が何の気の迷いもせぇへんとズバッと本音でモノ言うから、ついふざけて変な言の葉使ってボケたけど本気でお前を天才や思てるんやで

俺を笑かす天才や、お前は…」

言うてる言葉と今起きとる事に矛盾しとるんに、ついそない事を言う

簓「なぁ、今なら戻れるから

A、盧笙もお前の帰りを待っとる

肉体のAの方は今盧笙が必死こいて守ってくれとるんよ、お前は知らんやろけど…」

そない言葉を言うて笑えば、顔に反して煌めきのように涙が溢れてくる

簓「…泣き虫でいつまでも子供でごめんな

だけど、お願い

…「一緒に生きて」」

そない言葉を言うた次の瞬間－－－－

簓「…！？」

何か時計の針が歪むような感覚と共に、静かに世界に変化が訪れる事を肌で何となく感じていた