第351話 ページ29
監督生side
オルト「…解析を開始します
完了まで残り20秒…」
さっきまで一緒に話していた男性は、私達の目の前から消えると保健室で少しの騒動を起こしたと噂が立ち始める
Aさんのお兄さんだと私が直感で思った相手だけど、果たしてAさんにとっての何者であるのかは完全には窺い知る事ができない
それを思うのはこの場にいるほとんどの人間で、私だけが思う事ではないんだと思う
イデア「…多分縁のある人間だって事は分かるよ
この世のどこにもいないタイプの人間だって事も、ね」
ケイト「あの感じがちゃんと成り立ってる世界があるんだね〜…
けーくん世界の広さにびっくりしちゃうよ」
トレイ「…結局の所一個人がどう生きるのかは生まれた環境に依存する事が殆どだって事だな
俺も例外ではないが、兄弟を持つとだんだんああなっていく事も分かる気がするぞ
ああいう兄には俺はなれないだろうけどな」
トレイ先輩はあっけらかんとして言う
多分似たもの同士を見ているような気分で、本人なりにそれを楽しんでの事だろう
ケイト「トレイ君も兄弟に熱心に歯磨き指導したりダメ人間生産する悪い癖あるからね〜…
多分ダメにされるのが嫌で妹ちゃんの方は依存の淵から逃れようって藻搔いてるんじゃない?
けー君はそっちの方が分かる」
トレイ「ケイトには上の兄弟がいるからだろうな
下の兄弟がいるとどうしてもそっちに気を取られるものだぞ」
ケイト「そういうもの〜?一人っ子ってたまに羨ましいよねぇ」
リドル「…だからといって兄妹2人揃って他人を少し巻き込みすぎではないのかい?
あれを受け入れる世の中があると思えると恐ろしいと思えるよ」
アズール「…彼女は片親です
親から自分を育てられた覚えなど殆どないのでしょう、彼女の周りでまともだったのはあのお兄様だけだったと言える可能性もあります」
リドル「…!」
アズール「僕にも何となくそういうのは分かる気がします
他人が自分を見ていないと分かれば、相手と距離を掴む事に専念するのは自明の理です
彼女はそれをどうも「近付く」方向ではなくて「離れる」方向に動いているようですが」
ジェイド「…その一方で彼女のお兄様は「近付く」方向に動いているのですね
ちぐはぐではありますがピースが嵌る…」
フロイド「…縁(えにし)、だね
きっとそーいう事なんじゃないかな」
先輩達はオルトさんの回答を待つよりも早く、勝手に結論を見出していた
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作者名:ユウ | 作成日時:2021年9月5日 20時