ウチとアンタと、キミの言の葉9 (ページ28)

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第350話ページ28

クルーウェル「…！！おい…」

誰の言葉も聞かんで、自分の思いだけを貫いて妹をその腕に抱く

庇うんと違くて、どっちかって言うと奪うように

一瞬の隙も誰にも与える事なく、一瞬で奪い取ってあっさりと妹は自分の腕に捕まる

クルーウェル「…何の真似だ？」

簓「奪うんや言うんなら誰だって俺にとっての敵や

俺を敵に思うんは好きにやればええけど、俺を潰すんや言うんならこいつも俺の道連れにしたる」

クルーウェル「…！」

簓「あの機械のお人形みたいな兄ちゃんが俺を撃つんやったら好きにしてええ

でもこの場におる相手は皆Aの事好きなんやろ？

ほんなら俺は撃たれへんよ、俺を撃ったらAも犠牲になるんやから」

クルーウェル「…！…性の悪い…」

厳しい顔つきで白と黒の兄ちゃんは俺を見よる

そしてさっき俺を攻撃する言うた機械仕掛けの兄ちゃんも、俺を怖いもんでも見るような目で見つめる

オルト「…こういう時の対処方法は僕は習っていないよ

兄さんに連絡を入れなきゃ…！」

クルーウェル「…シュラウド、事を荒立てるな

これはそんな大事ではない、むしろ…」

オルト「兄さん！」

2人の俺の目の前におる相手はざわざわと言の葉を並べ立てて、俺っていう敵をどうするんか考えているように見える

俺は何も怖くない

ただ妹を自分の腕に抱いて、ほんで自分が尽きる時もこいつとおる事ができるなら

死んでも、死ぬ時もいつだって一緒にいるって決めてるから

イデア「…！オルト…？」

オルト「兄さん、大変なんだ！

サシャさんがさっきの人に…！」

だけど返るのは冷静な判断や

機械の兄ちゃんには悪いけど、それが当然の結果やろなと俺も思う

だって人間「見れば分かる」事なんてなんぼでもあるもんやろから

イデア「…オルト、その人は少なくとも魔導エネルギーで倒すべき相手じゃない」

オルト「え…？」

イデア「対象の魂の形を判定するプログラムに移行して

拙者昔、闇の鏡を模倣したプログラムを組んで、簡易的に魂の形を判定するお遊び適度のプログラム導入してみた事あるでしょ？

まさか使う時が来るとは思っていなかったけど…まずはそれを使うのがベターだよ

起動開始」

オルト「…」

一瞬の静寂の後に、兄ちゃんは敵意を除いて再び俺を全く別の目で見よる

オルト「…解析を開始します

完了まで残り20秒…」

そして俺は妹を腕に抱いたまま、相手の意向が思いのまま満たされる瞬間を待っていた