ウチとアンタと、キミの言の葉9 (ページ11)

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第333話ページ11

簓side

俺が見た景色の中には、初めAはおらんかった

何が起こっとるんや思て近付けば、誰かが何かを攻撃しとるんや言うんは分かる

簓「…！！」

それは何と形容して良いものかも分からん、猫や言うんには程遠いそれでも猫に近い怪物

それが誰かを守っているように、あるいは何かを奪われへんように自分で守って周りの止めに入る大勢と1人で戦っているようにも見える

簓「…アレは流石にアカンやろ

あない生き物がおるんの？ワンダーランドって何でもアリやな…」

そないシラけた冗談言うて、猫を伺うとそこには見覚えのある緑色の髪色の影

簓「…！！」

それは血に塗れていて、そして猫を引き留めでもするように縋り付いているような、あるいは猫を自分の気で惹こうとしているような姿に見えた

誰だかは点と点が繋がるはずなのに、それが「そう」やって信じられへん自分がいる

『…猫ちゃん、おいで

ウチが今宵の標的なんやろ？まだ昼やけど今宵はええ夜にきっとなるで』

簓「！？」

『ええ眠りにウチを誘い出すんやから、猫は何も悪うないよ

ウチの事寝かしてみて、ほな、ウチは全く怒らへんから』

その言葉で瞬時に理解が追いつく

猫を愛して誰をも憎む事を知らない無垢な影

笑って誰も彼もを、あるいは何もかもを受け入れる人の良い子供

猫に半分魂を吸い取られているような、声も猫撫で声で目つきまで猫みたいに細い、俺のよう知る変わりないあの日のままの妹が

簓「…Aちゃん、それはアカンて」

いつもの調子で俺はそない言うて、ハッキリ言って間に合うんかは不明やけどその影に近付いていく算段を整える

猫の方に色々バレると厄介やろから、俺が猫になったみたいに高い所から飛び降りる言う戦術で

…スタァンッ！！

簓「…着地は無事にできたわな

後はあいつの所に…」

そない言うてる一瞬やった

その猫みたいな何者かが一撃を振り翳して、一瞬で妹を奪っていこうとする瞬間は

簓「…ッ…！！

…ホンマにアカンで、猫でも俺は潰す気でおるよ…！！」

言うて必死に走って、滑り込むようにその拳の当たる一瞬の隙で自分の大切なものをその腕に抱いて

そして、避けるようにその場から抜けて転がり込む

『…ッ…！！』

簓「…Aちゃん」

俺が静かに笑て声をかければ、その俺の抱いた妹は血に塗れているままにも俺を認識したのか、俺のよう知る反応で「いつもと同じ」を俺に向けて返していた