キミとお前と、俺の見ている世界3 (ページ9)

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第103話ページ9

聞けばセンセは吹奏楽部の女の子に話しかけられていて、センセはそれに呼ばれているって気付く

曰くこの学校の吹奏楽部の顧問のセンセはうちもよう知っとる古典のセンセで、音楽について詳しくあらへんからセンセのような人間を部活動全体が求めとるって話やった

その古典の女のセンセもまた週に2回非常勤で来るセンセに「自分では専門的な指導ができないから結城先生に声をかけてみたらどうか」と学生に提案しているとの事

この学校は文武両道を謳っている割には生徒を部活に縛る事もない、要は生徒の自主性を応援するのが方針のそない高校やって訳でセンセはそれに巻き込まれる側であるとウチで気付いた

どっちの言い分も分かるけどなんとも微妙に需要と供給のバランスの噛み合わない世界にウチはここで初めて巡り会う

『…ほんでセンセに声かけとるんか

ウチで部活やっとらんからそういう感じなんやって知らんかった』

女生徒「そうなの

音楽の先生結城先生しかおらんし頼れるのそれ以外おらんねよ

ウチも中学で部長やっとったけど高校の部活はまた違うし音楽分かっとる訳とも違うから」

『成る程な

ほんでウチも音楽に関して分かってへんけど呼ばれる道理はあるん？』

女生徒「観客としての素直な感想が聞きたいんや

ウチらに何が足りへんのかウチらでも分からん事が多いん…ウチらの部活別に強い高校と違うから」

ウチは吹奏楽部の事情なんか知らんし、言われるまま「そないもんか」思てとりあえずは乗る気持ちを整える

そのセンセもまるで興味はなさそうやったけど、断る道理もまたあらんのか仕方なしやって顔でその生徒を見る

葵「…言っているが俺もそこまで暇な時間がある訳ではない

俺にも俺の時間があるんだ、あまりお前達に気を遣ってやれる余裕は俺にはない

優しい親切で丁寧な指導を求めるなら他を当たれ」

女生徒「分かってます

少しで良いんで、素直な意見を言ってもらえないですか？

むしろ率直な意見の方が良いんです」

葵「…趣味の悪い連中だ

タクトとスコアは準備室に置いてあるな？それを整えたら俺も行く」

女生徒「…！

…ありがとうございます！」

その子はセンセの言葉に恭しく礼儀のなったお辞儀をして、ほんでセンセの無表情と相反した期待と喜びを浮かべる顔で笑てウチを置いてけぼりにしていた