第100話 ページ6
でもセンセはウチがいつ質問してもとりわけ態度が変わらない
いつも他人行儀に、ウチと一定の距離を保ったまま、ただ一問一答の答えをウチに伝えるか、単に作業のようにウチと話をするだけでウチの事にはまるで興味もないような態度を貫く
センセの授業は別に何かが面白いかっちゅーと別に普通な、「授業」としてはまともで完璧でそれ以外にない授業やった
ほんで楽かどうかで言うなら授業は「楽」やった
だってセンセの作るテストは全然難しくなんかなくて、授業聞いて教科書を開いていれば誰でも普通に点が取れてまうような普通の試験や
ほんで、技能試験も別にただ授業真面目にやってればそれ相応の点数がついて、ほんで別に意地悪な点をつけられない
ホンマに「音」とか「技巧」を評価されるだけの技能試験で、人がどうあれ相手の事を「音」で判断してるっちゅーんがセンセの目線なんと違うか、なんて言いたくなるような無茶苦茶に味気ない評価のやり方
だけど忙しく自分の時間を過ごす高校生にとって、むしろそういう「普通にやれば努力を必要としないで単位がもらえる」授業は楽でありがたかったんやと思う
生徒1「お、今日音楽あるやん!
楽やよ、今日1日」
生徒2「4時間目数学あってダルいけど、1時間楽な授業あるから1日しんどくなくてええな
試験も楽やし」
生徒3「むしろ何で敢えて芸術の授業高校生でもやるんやろな?
やるだけ意味ないんと違う?」
生徒4「それな」
多分センセの方もわざわざ「高校」っちゅー場で音楽教える意味については分かってへんと思う
だってセンセの思う「音楽」とウチらの意味する「音楽」は言葉を同じにしても意味がまるで違ったから
だから多分やけどそこに距離感があった
ウチで「音楽」っちゅーもんに踏み込んで深入りをしたのは、多分ウチとセンセで「言の葉の意味」を同じ距離と温度に感じられるものにしたいって、ウチで思う心があったからなんや思う
生徒5「…あ、白膠木さん
ごめん、ちょっとええ?」
『…?』
ほんである時、クラスメイトの女の子に声をかけられた事がきっかけでウチの世界はまた広がる事になっていた
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作者名:ユウ | 作成日時:2021年10月17日 18時