第143話 ページ50
俺がアオイに気付いたのは、何の変哲もないただの青空と雲が共存しているような普通の平和な日
なんて事のない日に俺は外で学園の敷地で飼われているウサギにニンジンを餌にやっている所に、誰かのピアノの音が耳に入ってその存在に気付いた
誰だかは知らねぇけどピアノがこの学園のどの奴よりも上手い奴がいるってほとんど直感的な思考で気付いて、そこから先は誰がそのピアノを奏でているのか追い求めるようにウサギから音のある方向へ目を向けて走り出す
そこまで弾けるなら人生楽しくて仕方がないだろうってくらい、無駄がない上に自由に指を動かしている事の分かる「ラ・カンパネラ」の模範回答みたいな音楽
それを俺は音で聞いて、その正体がこの学園の教師じゃなくて俺の同期だと気付いて驚く
葵「…?」
ダニエル「…お前、もう「ラ・カンパネラ」を完成させているのか?
俺もほぼ譜面は覚えてるしヴィオラじゃエレメンタリーの時から弾けるが、ピアノでその完成度は他の奴よりもだいぶ習得が早いんじゃねぇか?」
葵「…誰だ?」
ダニエル「…うん?」
葵「生憎と俺はこの曲を完成させるのに忙しい
練習に邪魔を入れるな」
そう言ってアオイはまたピアノに向かって真剣な顔色で向き合って自分の音楽を奏でる
己の中に篭っていて、俺の話を聞かないで真剣にピアノを奏でるアオイは、でもその言葉に反して誰からも否定される余地のない完璧な音を常に自分の中から外に発信している
まるで音楽自体がアオイの言語になっているかのように、例えるなら何かその音で誰かに意思疎通を図っているかのように
ダニエル「…」
そんな不可思議な人間に俺は興味抱いた
そしてそいつと仲間になれるような気がすると、不思議とそんな確信が湧いてきて、俺はアオイが演奏を終えるまで笑顔でその音を聞きながらじっとアオイの側で待ち構え続けていた
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作者名:ユウ | 作成日時:2021年10月17日 18時