第140話 ページ47
『…ちょっと色々ウチでついて行けへんから良い?』
ダニエル「良いよ
どこからついて行けない?」
『まず「ラ・カンパネラ」ってそないヤバい曲?』
ダニエル「ヤバいね
大概の音楽家でもあの壁は乗り越えられないなんて言うくらいだ」
『え…?』
ダニエル「別に「ラ・カンパネラ」を弾けなくたって音楽家になりたきゃ当然なれる
だが大概の音楽家はその壁を乗り越えたいと願うから皆それに挑む、「ラ・カンパネラ」っていうのはそういう曲だ
アマチュアにはまず無理だが、プロでも弾ける奴はそう多くいない」
『…え、でも今それガッコの課題って…』
ダニエル「そ、そこが俺らの学校の教育方針
あの学校が何で有名な音楽家を多く輩出するかって、逆にあれだけやって音楽家になれない方が変だってくらい叩かれるからだ
精神的に色々タフじゃねぇと生き延びれないって訳よ」
『…うげぇ…』
俺らのいる学園っていうのはガキの俺らに「無理難題」を次から次へと準備して難題に取り組ませる「めちゃくちゃやらせる」類の学園だ
音楽家になるって言うからにはそういう厳しい試練を乗り越えろ、そういう事をリアルな経験でガキの俺らに教え込む
だからただの勘違いのお坊ちゃん達は篩にかけられてどんどん落とされる
ついて来られる奴には厳しくしっかり教える、そういうある種仕組み的には分かりやすくて偽物と本物を篩にかける単純で明快な仕組みにはなっている
でも厳しい事に違いはねぇ
教師「…良いですか?本当に音楽でやっていくと言うからには子供のこの今の時期に技巧を伸ばしている必要があるんです」
俺らに与えられた課題は「ラ・カンパネラを1年で習得しろ」という、時間にも余裕のあるシンプルで見かけ上は難しくない事に聞こえる課題
生徒1「…は…?何だこれ、無理だろ
1年で弾けるか?」
生徒2「無理だよ!こんなの覚えられない!
難し過ぎる!」
だけどそれが無理難題だって事に俺らはだんだん理解が追いついていく
そこに求められている事には技巧はまぁ当然の事だが、暗譜も表現力も「音楽のあらゆる全て」を意味として当然含む
つまり文字通り俺らは「ラ・カンパネラという音楽を自分の所有している音楽として完璧に演奏できる」ようにならなきゃならねぇ訳だ
生徒3「…!!」
そしてそれを僅か20分で殆ど完成形に持ち込んだのがこのアオイ・ユウキという男だ
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユウ | 作成日時:2021年10月17日 18時