キミとお前と、俺の見ている世界3 (ページ46)

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第139話ページ46

俺らのいたその音楽を学ぶための箱庭は、単に自分を成長させていくための箱庭じゃない

確かに入り口は広くて自由な入り口だが、出口は狭い上に生きるための自由はそこにない

入ったからには音楽家として認められるようになるまで決して卒業単位を認定しないのが俺らの学校だ

ある意味「音楽家になる」という夢を叶えるのに理に適っている「これを乗り越えさえすれば本物」っていう指標にはなるんだが、まぁ生き延びる奴は少ないし大概の奴らは一度はその学園で挫折を味わう

生き残びる奴も大概は頭のネジが1本や2本は外れた変な人間に生まれ変わっちまう

『…そんな環境あるんの？

ウチあまり訳が分かってへんよ、どない教育したらそないなるん？』

ダニエル「お嬢さん、「「ラ・カンパネラ」を1年で習得しろ」って言われて想像つく？」

『…え？』

ダニエル「「ラ・カンパネラ」ってそもそも知ってるか？」

かの有名な音楽家、俺もよく知る弦楽器の奏者、そして作曲家であるニコロ・パガニーニが作曲した超絶技巧練習曲

それを俺らは13の一番初めの段階に課題として与えられる

『…それ、センセ20分で弾けたって言うてた曲と違う？』

ダニエル「そうだよ

アオイが20分で完璧に演奏した「ラ・カンパネラ」は俺らにとって「当たり前」にならなきゃならないんだ

そういう世界」

そんな年齢に見合わない程の高レベルの教育に耐え抜くのが俺ら音楽学校に入った13のガキどもの運命で、そんな俺らはアオイのそのイかれた才能に巡り会ってアオイを認める事に結果としてなっていくんだ