第133話 ページ40
だからまぁ、アオイを一言で表現するなら「音楽に食われちまった」人間って話になる
そのアオイがどういう顛末を辿っていくか
まず始まりに、そういう家庭環境に巡り会えるもんだから、お姉ちゃんが身体を壊せば当然その才能を見抜いてるおじいちゃんとおばあちゃんの家にアオイは何度でも預けられる
子供の葵「…」
葵の祖母「葵くんはね、すごい子よ
だからきっと音楽でこの先うまくやっていけるわ」
葵の祖父「ショパンとベートーヴェンの楽譜だ
プレゼントに買ってきたんだ、婆さんと葵には何が似合うだろうって話をしてな」
自分の話を他人の方が盛り上げちまうと本人がついて行かれなくなる
そういうのは当然よくある話で、こいつに限って言うならそれが皮肉にも「音楽」って言う自分と今後縁が深い関係になるものがそういう類のものに感じられる訳で
それに、他人が誇張すると本人もその才能が本物かどうかだんだん疑ってくるっていうのは話としてあり得る
だから本人もやる気はないがそれが「本当の事」かどうかを試してやりたくなる衝動には駆られていくもので
他人からの余計な言葉でこいつはもう「音楽」っていうものから縁を切れない深い領域へある時首を突っ込んじまう
子供の葵「…」
葵は自力で譜面を読んで音楽を学んだが、親バカも相まってコンクールなんてもんに自分が出場させられる事になった
どういう訳でそういう展開になったのは多分本人が一番に理由を分かっていなくて、過程で何を親がやって自分が出場する大会に巡り会ったのかもあいつには多分分かっちゃいねぇ
何せこいつは3歳でピアノに巡り会って、小学生にも入らない僅か4歳の時にピアノのコンクールの子供の部門に出されるんだ
自分の意見なんてまだ明確でもない、その癖大人からその自分の意思を搾取されて勝手に自分を決められる、そういう運命にその男はいた
子供以外の相手と戦う事のない、日本の平和なコンクールでこいつはその異彩を放つ
審査員1「…!?」
審査員2「これは…」
審査員3「…おお…」
ピアノのコンクールで僅か4歳なのに大人を魅了して凌駕したこいつは、もう「音楽の天才」と言う言葉から逃げられない人間になっていた
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作者名:ユウ | 作成日時:2021年10月17日 18時