キミとお前と、俺の見ている世界3 (ページ37)

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第130話ページ37

まずアオイと俺の人生の比較をするなら、俺らは生まれが違う

俺はドイツの生まれ、音楽に親しみのある環境が元から備わっている世界で

アオイは逆に、俺の知らない日本なんていう音楽に関してはさして有名でもない世界の生まれ

その時点で俺と違う性質だって分かると思うが、そのアオイと俺の決定的な違いはその才能の明確さにあると言えよう

ならアオイは何故天才に生まれたか

その理由はきっと俺でも結果として「神様にそういうものを与えられて生まれて来ちまったから」しか言いようがない

アオイはそういう「天からの授けもの」を持ってそのまま生まれて来ちまったただの一般人の家の生まれで、本来音楽と無縁な人生になるはずだった

その才能を目覚めさせちまったから今のアオイの人生はある

子供の葵「…」

アオイは自分で「寡黙な幼少期を過ごした」って自覚はあるそうだが、そのアオイは果たしてどんな環境で育っているか

多分ピアノに出会うまではその人生そのものを語りようのない、「普通」の枠組みに組み込まれた普通の環境にいたんだろう

ならアオイの家はどういう家か

それもまた普通の一般的な日本人の家庭で、音楽をやっている家庭に性質として必ずある事の多い「金持ち」な要素がない、何故楽器と巡り会ったのかも不明になるような家庭の育ちだ

俺は音楽やってる家庭で音楽で儲かっている家庭だから、その比較で言うなら「金持ちで楽器に金を使える余裕のある」家

あるいは「音楽をやれる時間的ないし経済的余裕はある」、ある意味音楽家になって当たり前な家の出身だ

まぁそういう所もおそらく俺とこいつで性質は違うんだが、余談は置いてこいつが音楽に巡り合っちまったきっかけを言おう

葵の母「…！恵ちゃん！」

葵の父「…葵、今からおじいちゃんの家に預ける

恵が熱を出したんだ」

こいつの家庭はまず普通の家庭だが、「姉」っていう生き物がいる家庭で育っている

一人っ子という性質の人間と比較しちまうとそこが「違い」に明確に含まれるであろう、「お姉ちゃん」がいる家庭の生まれでこいつは生まれた

その姉ちゃんが原因で人生変わっちまったって言ったら確かにその通りになる

子供の葵「…！」

姉ちゃんが高熱を出してアオイが自分のじいちゃんとばあちゃんの家に預けられたその日、僅か3歳のアオイは人生で初めてピアノに巡り合う－－－－