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第128話 ページ34

多分ウチも一通り「珍味」なんて呼ばれる高級な食材の味を知っているのはこの経験があるからと思う


鹿の肉は食べたし、魚の卵ならキャビアってチョウザメの卵を食べて、そんなウチは贅沢な食事にこの日ウチでありついていた


頼んだのはウチの意見やのうて、このおっちゃんに乗せられたからって言うんが正解なんやけど


ダニエル「美味いだろ?」


『…!うま…鹿ってこない味するんや』


ほんでそういうもんに巡り会うと確かにその美味は掴める


ちゅーよりウチで本気で「食事を楽しい事」と思ったんはこの経験が初めてや


食事に疑問を覚えるようなウチの生き方で、誰かと食を囲む事の大切さをある意味でこの時真面目にウチで実感した


『…ちゅーか、メニューの値段あんまり見てへんけどそれで平気?』


ダニエル「心配いらねぇよ

こいつの奢りでどうにでもなる」


葵「…そいつは俺の高校の学生だ

色々俺が奢ると問題がある」


ダニエル「じゃあ「俺の奢りだけど金の出どころはお前さん」って事にしておけば良いんじゃねぇか?」


『…え、ええのそれで?

ちゅーかセンセ、ウチがいたら真面目に迷惑なんとちゃう?』


葵「…今更だ

それに、俺は教師を干された所でそこまで困らないからな」


『…それ、ウチも疑問に思ってたんやけど、何でセンセはセンセやっとるんの?』


ダニエル「…じゃあここから先は俺の話に入るな

こいつが自分で話すと全く違う戯曲に聞こえちまうだろうからよ

アオイは飲んでる?」


葵「…聞いても仕方ない事だ

俺の人生の話を本人が聞いてどうする」


ダニエル「じゃあ口挟まないでそこらでボーッとしててくれ

んでな、まず初めから言うとなると」


そしてウチは出生の秘密からこの「結城葵」っていう人物について詳しく知った


天才に生まれて必ず人間が幸せになれるって訳ではない、そういう話もあるってウチで知るのはこの物語が原因


結局個人の自由や人生における幸福って一個人の問題に委ねられるんやろなって、そういう教訓を習得してウチでこういう生き方をしてるのもこれがきっかけになっているのかもしれない


ダニエル「俺の話も比較対象に紛れるが、そこはご愛嬌って事で許してね」


『…ほんならウチ1人から2人の話を同時に聞けるんね

それも気になるから聞かせて』


ダニエル「じゃあ話を始めるよ

まずな…」


そんな語りで、ウチが尊敬するセンセの「人生」という物語をウチで知る事になっていた

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作者名:ユウ | 作成日時:2021年10月17日 18時

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