キミとお前と、俺の見ている世界3 (ページ28)

今日:29 hit、昨日:6 hit、合計:1,488 hit

第122話ページ28

『…せやな、確かにややこくて難しい事やもしれん

でもウチでできる自信あるで』

葵「…！」

『だってウチはその明確な「答え」に辿り着いてるもん

ウチでセンセの音聴いてその答えにウチで辿り着いた』

ウチは論議をかましていくみたいにセンセに向かってウチの中の正論を伝える

『センセの音楽ってね、何弾いてもきっとウチは絶対「好き」になるんよ

そういう音色をセンセは奏でとる

それを才能って言うんか技巧がすごいって言うんかはウチも理解してへんけど、その事だけはウチで1番に分かる』

葵「…」

『技巧がどうあれ、センセが弾く曲がどんなに恐ろしくて聴くに堪えないような音楽であれ、多分ウチは絶対に耳欹てて聞くしウチで嫌いにならん

多分食らい付いて絶対ウチの腑に落とすんよ

そういう音楽を奏でるセンセをウチで見てるから知ってる

センセが弾くから全部の音がウチに響くん、心に響いてウチの感性に磨きがかかるん』

葵「…」

ウチでそない言えばセンセはまた少し黙って変な顔してウチを見て、でもウチも言葉は止めない

確実に仕留めてウチの腑に落として巻き込んでやる気自体ウチの中にも当然あるから

『そういう音楽をウチで知ってるから確実に「その領域」へ行く事は多分いずれできるで

どう行けばええんかはあまりよう分からへんけど、そういう事で言うんねやったら正解の形は目に見えとる

皆に音を聴かれて、ほんで最後に感情がブワって吹き上がる音で奏でればええんやって分かる』

葵「…」

『そこに辿り着くための道標をセンセにお願いしとるんよ

音色が悪いんねやったら専門家としての一意見を言うてや、答えなら知ってるからウチらを導いて』

葵「…そういう事なら聞いてやっても良い

だが一つ言っておくが」

センセはウチの言葉に乗ってそういう肯定的な答えをくれる

葵「…俺も音楽の事に関しては確かに専門性を極めて生きている人間の中の1人だ

だが、その俺が納得する音楽が音楽の正解かと言われるとそれはまた違う

そこは当然理解を事前に入れておけ」

『…でもセンセ1人を納得させてへんのに音楽やってる審査員全員を納得させるのは無理ちゃうのん？

せやからまずウチらでセンセ1人を納得いかせるんよ

センセ、覚悟決めとき』

葵「…」

『…ウチらでまずセンセっていう強敵倒すで』

そない宣戦布告を入れて、ウチらはまた音楽に懸命に取り組む姿勢に自分達を奮い立たせていた