キミとお前と、俺の見ている世界3 (ページ3)

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第97話ページ3

『…！！

うぇ…センセ、指がヌルヌルして気持ち悪いで

人間と違う生き物なんとちゃう？手だけ』

葵「俺の手は人間の手だ

それに、気持ち悪いと評するなら見なければ良い

音を聴いていろ」

『いや、見るしそれはそういう事と違くて比喩表現やんな…

そのヌルヌルは人の手の動きと違うよ、すごくてウチで気持ち悪い以外言えへんで』

葵「…それは随分な褒め言葉を受けたものだな

もう少し国語の授業を真面目に聞いたらどうだ」

『いや、ウチこれで学年首位の成績なんやで？

国語に関しては』

葵「…それは成績の付け方が随分と甘い人間に恵まれているようだな

俺も後期からはもう少し真面目な成績の付け方を考える事にしてみるか」

『えっ…センセ、テキトーにウチらの成績付けとるんの？』

葵「「適当」、という表現は時に言葉として意味合いを違える

俺は「適切に」成績の処理をしているぞ、筆記試験の結果とリコーダーの技能試験で前期は処理をした」

『…あ、それはマジな話なんね』

葵「あまり話しかけるな

集中してる」

センセもその曲は真面目にやってないと弾かれへんのか、ウチの話を途中遮ってピアノに集中していた

ちなみにこれは後でウチで知ったんやけど、フランツ・リストの「ラ・カンパネラ」っちゅー音楽はピアノの技能の高い音楽家でも大体挫折をする「めちゃくちゃに難しい」っちゅー事で有名なピアノの曲や

このセンセの言う「これが弾ければ本物」っちゅーんは確かに嘘と違う真面目な話やけど、そもそも基準がぶっ飛んだ基準やってカラクリが実は言外に隠れとる

つまりセンセは「本物」の天才っちゅー訳で、それが分からないとそもそもこのセンセの事は理解できない

葵「…これでもう良いだろう？」

『…センセこの曲弾けるのになんぼの時間かかったん
？

無茶苦茶に練習したの？』

葵「…？子供の頃に俺の手がある程度弾ける領域をカバーできた後はすぐだったな

13の時に譜面に出会って、20分後には大体弾けていたぞ」

『…えぇ…弾けない音楽とかないんの？』

葵「…今まで巡り会った試しはないな

世界の音楽を全て掌握している訳ではないが、今まで出会ってきた譜面は大概弾けるぞ

暗譜も全てしている」

『…センセ真面目な方の天才やん

これでようやく分かったわ』

何故センセが誰からも楯突かれないか

「これを認めているから誰も歯向かえないんや」って、ウチはウチなりの答えをウチで見つけていた