キミとお前と、俺の見ている世界3 (ページ17)

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第111話ページ17

その時初めてその学生－－加悦ちゃんって子とウチで話したんやけど、共通する言語がウチらにあったからか何かは知らんけど存外打ち解けるのに時間のかからない子やった

その子は人のええ子で、ウチと出来は違う真面目で何に関しても懸命な努力をして上を目指す事を当たり前と思ってる真面目な子

無理と思ったらすぐに別の事を打開案として考えるウチとは違くて、ある意味本当に愚直で泥を啜る事を厭わない日本人らしい感性の根付いた女の子やった

あの人の出来と真面目さ、というよりは謙虚な姿勢はウチで本気で尊敬するし絶対に真似ができへん

『…なぁ、ウチで何できる訳とも違うけど、何かできる事があったら聞くで？』

加悦「え、本当！？

それならウチらの部活にこれからも来てくれない？」

『…？』

加悦「ウチらの部活ね、地域演奏会とかそない事もやっとるけど、地域の人に応援してもらえても本気で喜んでもらえとる自覚はあまり掴めてへんねよ

向こうがウチらの方に味方してくれて、腹割った意見なんて言うてくれへんねや

素直でストレートでええ、ウチらの音楽を批評して」

そない箱庭の外の住人のウチに期待されるような言葉を聞いて、ウチもそない事ができる自信はあまりあらへんけど意見は聞いてやってみる事にしていた

ウチはせやから入部届はこれまで一度も出してはおらんけど、実質半分は吹奏楽部の住人に変わってたって思う

外部講師、あるいはマネージャーに近い人間にウチが変わる瞬間に、ウチの時間の消耗はある意味で少なかった

加悦「先生も良いですよね！？」

古典の先生「…生徒のやる気を応援して見守るのが我々の務めですよ

あまり部活ばかりになって勉強が疎かになるようでは困ってしまいますが、貴女達の青春は一度きりですから悔いのないように過ごしてくださいね」

加悦「…はいっ！」

他人行儀な顧問の先生もそない事言うてウチらを味方して、その日からウチの人生は少し音楽色に染まって行っていた