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第107話 ページ13

葵「…216小節目、ここは終局に向けて今までとコードが変化しているはずだ

お前達は前のE♭の短調に引き摺られて音楽の締まりを非常に後味の悪いものにしている

純粋なB♭の長調を基調にしている音楽で騙くらかしは効かない、誤魔化して難を逃れる気でいるなら曲を変えた方がまだマシだ」


センセは口は酷いんやけど、吹奏楽部の子は真剣にやっているからセンセの助言は真面目に有難い思てるんか譜面にセンセの助言を真面目にメモしはるしセンセの言葉にいちいち威勢の良い返事をする


ほんで助言会が終わればセンセはあっさりと生徒を見放す


葵「…これで言いたい事は概ね言ったが、お前達の音楽は個人の演奏を無理に団体で奏でる形に落とし込んでいるように聴こえる

個人の技量なくして音楽など奏でる事は不可能に違いないが、少しでも音楽を集団で奏でる気持ちがあるなら人と音を聞き合うように練習を入れる方がお前達に向いている」


女生徒「…あまり合奏の時間を取れないんです

譜面読むのに個人差がどうしたって出るんで…」


葵「朝練は何をやっている?」


女生徒「朝は前も言った通りで、高校通うのに時間のかかる子もいるから個人で練習です」


葵「…なら集団で奏でる時間が取れる午後の練習では少しでも合奏を取り入れろ

個人の演奏で集団の演奏にいつか持ち込めると思ったらそれは歪曲した考え違いだと言っておく」


『…ッ…センセ、自分が音楽やる暇あるからってウチらにしんどくない?』


葵「…?」


『ウチらかてウチらの時間があるんのは高校生真面目にやっとるんやししゃーないやん

それでもどうにかして欲しいから皆でセンセに声かけとるんと違うの?

センセも真面目に皆の事考えてあげてや!』


ウチは別にセンセに嫌気が差したとかと違くて、純粋にウチの意見をそこで言うた


でもウチのこう言う意見はきっと他のもんからすれば意図を汲み取って自分の中の何かを変えるような言葉に聞こえるんやと思う


ウチの意見は人に何かを汲み取ってもらうべき言葉と違くて、単純に思いを言葉にしとるだけなんやけど


葵「…俺がお前達の事を考えていない?」


『…え…?』


葵「考えているから現状を汲み取って俺はお前達に見合う意見を言っているだけだろう

それがお前達に沿っていないと言うのなら俺に助言を求めるだけ無駄だ

他のお前達に寄り添う指揮者でも探せ」


センセは冷たく言うて、譜面を譜面台に置くと何も振り返らんと音楽室の外に出て行った

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作者名:ユウ | 作成日時:2021年10月17日 18時

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