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第105話 ページ11

ほんでセンセは音楽準備室に行くと譜面と指揮棒を掴んでさっさと音楽室へ行く


ウチで気付いた事なんやけど、その日センセが手に取った譜面はまだわりかし綺麗で、紙が縒れているとはいえ白いままやった


これからきっとどんどん縒れて黄ばんで、ほんでそれと共に何かが変化していく過程に譜面はきっとおるんやってそない気持ちをウチは勝手に抱いた


譜面と指揮棒を手に取るそのセンセは変わらず面倒臭そうな顔はしていたけど、音楽に関しては真面目にやるんか気持ちだけは準備を整えとるみたいに見えた


葵「…加悦、やるならとっとと準備を済ませろ」


女生徒「はいっ!

皆、結城先生が来たから合わせやるよ!」


その女の子−−ウチが勝手に「加悦ちゃん」って呼んどる部長の子が声を上げれば皆自分の練習をやめて静寂に向かう


古典の先生「結城先生、この子達夏のコンクールで金賞になれなかったからってその後から懸命に練習し続けとるんです

少しだけで良いので付き合ってやってもらえませんか?」


葵「…今日は少しこの後要件があります

少しで良いなら構わないですが、俺も最低限の助言しかできないですよ」


センセも年齢の上の人間に対する態度はある程度節度を弁えとるんか、丁寧な口でそない事言うてウチの知ってる古典のセンセと話す


その古典のセンセはウチで言うと「眼鏡をかけとる大和撫子」って感じで、何となくウチは苦手に感じていた


別に人の出来自体には何も問題あらへんええ人間なんやけど


古典の先生「あら?白膠木さんまで来てくれたんですね

入部を希望しているなら届を出すのを待っていますよ」


『…センセ、ウチが補習サボったからって皮肉言うとるんと違くて?』


古典の先生「いいえ?それとこれとは全く関係のない話ですから

教職員は生徒の自主性を応援するものですよ」


この「教員」っていう生物をウチは当時ウチが高校生やったから何となくで苦手にしていた


というよりウチが捻くれた不真面目にやる高校生やったから何となくで嫌っていただけで、別にウチが高校生やなかったら何とも思わんただの他人なんやろけど、そない訳でウチも悪態が先に出る


葵「…始めるぞ」


けどそれは一応置いて、センセが指揮棒を握って手を高く上げればそれに合わせて吹奏楽部の子達は自分の楽器に真剣になって気持ちを準備する


そして聞こえた音は−−−−


『…!!』


ウチにありとあらゆる感動を与える事になる、力強い音色やった

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作者名:ユウ | 作成日時:2021年10月17日 18時

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