キミとお前と、俺の見ている世界3 (ページ2)

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第96話ページ2

葵「…お前がこの場に来た事に何の理由があるのか知らないが、下校時刻ならとうに過ぎてるぞ

部活動に行くなり、自分の家に帰るなりしたらどうだ？」

『えっ…

…ここにおるんの色々アカンの？』

葵「…構わないが俺に何か用か？

要件を済ませたらさっさと帰ってくれると助かる」

『ほんならウチで用ある！』

葵「…？」

『もっと弾いて！

ウチでセンセの音楽もっと聴きたい！』

ウチでセンセから突き放されへんように食いついて、ほんでセンセの言葉を利用してウチでセンセを縛る

そないずっこい考えを利用したウチの人間未熟で少し子供らしい態度は、こういった類の人間には効果覿面やって事をウチは知る

葵「…子供か、お前は」

『子供でええから！

ね、ウチにもっと色々聴かせて！

さっきの速いのでもええから』

葵「…あれはショパンの12のエチュードだ

今弾いたのに何でアレに拘る？」

『あの速い指の動き！ほんであの何か焦燥覚える音にウチ惹かれとるん！

ほんでウチ音に釣られてここにおるんよ、もっと聴かへんとウチで帰れないわ

せやから、お願い！』

そう言って困らせれば、センセは割と言う事を聞いてくれるええ人やった

ウチがずっこいのは事実でも、センセも根っからの悪い大人と違うって言うんはウチが当事者としてウチで証明できる

葵「…指、か」

『…うん？』

葵「…指でピアニストについて判断するならフランツ・リストの「ラ・カンパネラ」を基準にすると良い

アレが弾ける相手は大概「本物」だ、俺も例外に及ばない」

そない言うてセンセは静かにピアノの前に座って、これまた指の動きのとんでもなく気持ち悪い、さっきのとはまた違う音楽をウチに聴かせてウチをびっくりさせていた