キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ43)

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第87話ページ43

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ウチの高校の初めの頃、ウチはある選択を迫られた

それは高校1年の必須科目で、「芸術」って名前の科目に1つの科目を選べっていう複雑な話や

簡単に言うと授業は音楽か美術か書道の3択の選択肢があるんやけど、その中から1個選んで1年受ければ「芸術」っていう単位認定がされるっていう高校独自のカリキュラムが要因のややこい話

まぁそれは置いておいて、ウチがどの科目を選ぶか

ぶっちゃけそんなんどうでもええ思うウチは、鉛筆でも転がすくらいのノリでその日の気分で音楽の授業を第一希望に選んでいた

生徒1「俺美術一番に選んでいたのに書道やったわ」

生徒2「今年はたまたま美術が希望多い学年らしいで

俺らの代が例年と比べて珍しいってさっき美術の先生が言うとったわ」

生徒3「え、そうなん？

なら例年何が人気なん？」

生徒2「音楽が一番楽やって噂らしいで

でも今年度先生が変わったから、皆様子伺っとるんと違う？」

生徒3「成る程なぁ…」

そない噂話が流れる通り、ウチの学年はその時偶然音楽を希望する生徒の希望が通りやすい年に当たった

せやからウチも音楽の授業が希望通り通って、ウチで授業に必要なアルトリコーダーを買うたりなんかしていた

その時はその時で簓に「Aちゃん、アルトリコーダーあると利口だ！」とか下らんシャレ言われとったウチもいるけど、まぁそれは置いておくとする

ともかく、そんな訳でウチは1年音楽の科目を受ける事に決まっていた

出会いは一番はそれが要因で、その後に縁の深まる出来事は起きていく

葵「…」

その人物は物静かで、どこか冷たい目をしているウチと同じくらいの背丈のちびっこい男やった

ほんで見た感じ割と若手で、まだ成り立てのセンセやって印象を窺わせる子供のように見える顔をした、少しウチらの年代と波長の合うものを抱えとる人間やって印象をウチで抱いた

どこか人と線を置いて接するような性格をしている、「高校生」っちゅー年代のウチら相手に「大人としての振る舞い」でやり取りを交わす、ある意味では高校教師として相応しいと言える人間やった

葵「…これで全員か」

生徒1「起立！」

葵「…挨拶は不要だ

着席しろ」

そない冷たく突き放す性格をしているその教員に、その一瞬で誰もが疑問と違和感を抱いていた