キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ39)

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第84話ページ39

ほんでウチはまた何も言わんと色々を誤魔化して、ウチを偽るように世界を生き抜く

本当のウチを世に知らしめると色々不都合やからって理由もあって、あまり素性はウチで見せへん

でも、誰の前で顔を曝け出してええか分からんウチはいつも仮面を被って出歩いている本音を言えない嘘偽りの舞踏会で踊っているみたいな気分や

そういう生き方をしていると、ウチでウチが誰か分からんで、息をするように勝手にウチは「消えたい」「死にたい」「放っておいて欲しい」なんて社会から消える願いを抱いたりしていく

それを「ウチで爆弾抱えとる」なんてウチは表現しとるけど、人は皆生きてれば一度なり二度はそういう経験を人生の中で体感していくものと違うんやろか

『…？』

男上司1「お、またやっとるで！」

定食屋から外に出て、職場に戻る時にウチが朝見つめたのと同じモニターにウチで出くわす

昼のそのモニターにはこの時間に合わせて昼のニュースを放映していて、今は奇遇にも内容はエンタメとかそういう明るい話題で賑わっている

男上司1「やっぱり、日本人が栄冠取るって言うんは音楽の世界的大会で意味のあるものなんやろか」

『…ちょいと待って』

男上司2「うん？」

『…あれ…』

ウチがモニターの景色の中で見たのは、ウチの知っているある顔

身長160cmのウチと微妙に目線が合う、背丈の低いある男が指揮棒を振って何かを演奏しているみたいな風景

指揮棒を演奏の楽器と例えるんはウチの表現の問題やと思うけど、そういう躍動感と曲に酔いしれとる風景にウチは見覚えがある

『…葵センセ…』

男上司2「…？」

『…ウチ、あの指揮棒振っとるセンセと知り合いなんです

ウチの高校で非常勤の音楽のセンセやってた時空があって…』

女上司1「え…？」

『…信じられるとは思っていませんけど、ウチセンセのピアノの伴奏会にウチが短大の時行った事あります

あのセンセ、ウチが高校生の時から個人でピアノの演奏会とか開いとる結構すごい人間で…』

ウチがそない言えば、上司も同僚も驚いた顔をウチに見せる

男上司1「結城葵の知り合いなん！？」

『え…？』

女上司2「それに教え子！？

どういう事！？私その話知りたい！！」

ウチは思っている以上に話が膨らんでもうたな思って、でもウチで迷う事とも隠す事とも少し違うって分かるから、会社でウチはあるウチの過去の話を聞かせてみる事にしていた