キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ36)

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第81話ページ36

『…はぁ〜…こういうんがホンマに苦手なんですよ』

お客が去って行けばウチは化けの皮を剥がしたようにその場に蹲って溜息を漏らす

男上司「商談相手に気に入られるのはお前の利益やんな

近い距離に近付いて自分も当事者として話をする真似は斬新で危険も伴うがお前でないとできへんよ」

『コンサルって他人行儀であり続けなアカン暗黙の了解っちゅーもんがありますからね』

ウチが何でこの会社でこういう立場にいるか

簡単に話をすると、「ウチも相手の輪の中に入って一緒に話ができるから」

コンサルはそれが売りなんと思うけど、存外本物のコンサルはそこまで近い距離で話をしない

相手の気分を害するんは当然NGやし、案件を解決するんが仕事で拗らせて複雑にしていくのはウチらの利益にならんから

だからそこを弁えると他人行儀で俯瞰した距離感の遠い話しか普通はできへんのがコンサルの世の常や

男上司「距離感が近付いていないとあの話の流動性は実現できへん

皆それが嫌で避けてるから、お前がああいう事できるんがすごいって認めとるんよ」

『…ウチかて普通に話するんなら別にええですけど、ああいうのがセットになるんやったらもうやりとうない思いますわ

デスクでパソコン叩いとる方がええです』

男上司「機嫌損ねへんで

せっかく一案件落ち着いてお前も頑張ってくれた事やし、綾瀬さんの奢りで美味いもんでも食いに行くで」

『…ウチ今食べる事考えとうありません

なんかそれどころと違くて、胃がいっぱいで…』

男上司「ストレスと緊張で胃に負担かかってるんやろな

ほんなら茶漬けとか食べるのどない？定食屋に行けば茶漬けも定食もあるやろし今日はいつもの定食屋に行こか」

『…そうですね

お茶漬けならいけますわ』

男上司「ほんなら皆に今日は定食で決まりや言うわ

昼休憩まであと10分くらいやし、皆もそろそろお昼の事で気取られとるやろ」

そないやり取りを交わしてはウチは蹲ったウチを二本足でしっかり立たせて、職場の他の従業員のいるデスクへ戻っていた