キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ28)

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第73話ページ28

盧笙side

朝からせっかくの誕生日やって言うんに、何も特別な事を求めんと自由勝手にやる俺の同居人に想いを馳せる

言うてその俺も2日前に実は誕生日を迎えていたけど、歳取ればそんなもんなんやろかなんて俺に置き換えて考えて

でもやっぱり好きな分、何かしてあげたいだなんて「必要ない」と切られた感情を失う事もまたできない

盧「…どうしてお前は自分勝手にやる割に、人からの好意は受け取る真似はせぇへんねや…」

昔から人から与えられるものを拒絶してこっちの意向を伺うように接してくるあの少しの狡賢さ

それがなければ偏見なしに可愛がれるのに、きっとあの時の俺の抱いてる感情と今の俺が抱く感情が違うからこうなるんやろと何だか過去に戻れない自分に郷愁を覚えたりする

今が幸せでない訳と違うけど、あの時俺は確かに幸せだったんだろうなと昔消え去った時間の重みとか貴重さをこの時になってひしひしと感じる

あの時のままでいられれば良かった、だとか俺にあの時からこの感情が芽生えてたら、なんて振り返れない時間があるから抱く感情で、思っても無駄な事だと理解はしているのに

それでも、あの時と同じ時空を求めればきっとそれはそれで地獄なんやろなって、ならこれからの未来に自分は何を求めているんかなんて自問自答の問いかけを繰り返す

先生「…あ！躑躅森先生！」

盧「…？」

先生「突然すみませんね

ほんで突然の連絡になるんですけど、来年度数学の先生で新任の教師を迎える事になりまして…」

昨日話したのとはまた違う、この高校の歴の長い俺より歳上の化学かなんかの男の先生が俺に話しかけてくる

高校教師歴のまだ浅い俺はこの高校の勝手が分かっているようでたまに分かっていない現実と向き合う事が常で、こない歳上の先生に声をかけられるとつい抱かない緊張だって抱く

そこは俺もまだ若いと言える年代の人間やって事や

盧「…あぁ、そうやったんですね…」

先生「そこで躑躅森先生に少し初めの方高校紹介をしてもらえないかと思ってね…

同じ数学の先生だし、色々若手同士の方がやりやすいものじゃない？

こんな年老いたおじいちゃんと若手の新米だと若手君の方がる緊張しちゃうだろうし！」

盧「…ふふっ、先生なら心配ないと思いますけど

でも分かりました、引き受けます」

先生「宜しくね！」

気前の良い人間的にようできとるその先生は俺に笑て、俺もまたその先生に笑みを浮かべて返事をしていた