第70話 ページ25
盧笙side
話を聞けば、早起きした事が原因で朝から昨日買うた材料を使てプリンを作るという発想に至ったらしい
その発想はすごいな思う反面で、納得のいかん俺の思考はとりあえずの「成る程」という嘘出まかせを紡ぐ
嘘ばっかり言ったら碌な人間にならないなんて昔幼い頃に常識として教えられる反面で、正直に生きられる人間なんてこの世に何人生き残っているのだろうか
盧「…その発想に辿り着くんはすごいな
卵と牛乳でプリンがすぐに思いつくん?」
『他にもきっと冷静に考えればできるもんは色々あると思うで
でもその時に思いついたんはプリンでな』
Aはおそらく思い立ったら行動に移せるタイプなんだと思う
心に忠実で、口では嘘を吐いても心には常に嘘を言わない正直者
捻くれ者な人間とは違う、真っ直ぐが故に歪んで見えるタイプの損な人間だ
そういう可能性の卵を潰してしまうのは、日本のどこか堅苦しさの溢れ出る「自主性」やとか「個人の力」に目を当てないで、集団の中での個のあり方を認める閉鎖的な考えが普通の常識として受け入れられてるからなんと違うかなんてどうでもええ事を少し考える
盧「…ほんで、その仕上げのカラメルなんやな
やっと理解に追いついたわ」
『そういう事や
固まっとるかな』
Aは俺の話を半分流すように聞いて、冷蔵庫を楽しそうな顔で開けて覗き見る
そしてマグカップを二つ取り出して、揺らして固まった事を確認すると俺に自慢げに見せびらかす
『ええ感じと違う?
ウチも味は食べるまで分からへんから、少し朝から批評会でもやろや』
Aは楽しげに笑って、やっぱりこいつがいるとどこか日常が特別な日々に変わるんやなって魔法にかかったような心地を俺で鈍やかに感じていた
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星猫 - 続編おめでとうございます!高評価しました! (2021年10月5日 9時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウ | 作成日時:2021年10月2日 16時