キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ20)

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第65話ページ20

簓side

そしてついページを捲っていけば、ある時を機に俺らの写っているビラはパッタリ途絶える

それは当然の事で、俺らの辿った軌跡がそのまま物語のように示されているかのようだ

簓「解散したらそらビラも広告もなくなるわな

俺もそれ以降芸能界一度離れとったし…」

そない言うて次のページには何があるかと思って見つめれば、俺らのおらん場所に代わりと言わんばかりに何か違うものが補填されていた

その顔も名前も俺は知らない、全く違う世界の住人の影

簓「…？」

何やろ、思てじっと見れば、そこにあるのは誰かのピアノの演奏会のビラ

名前は結城葵、って書かれていて、日付は俺らが解散した時期から少しだけ間の空いたAが高校1年の頃と思われる時間

そこに何の意味があるか疑問に思って次のページに手を伸ばせば、その誰かの演奏会のビラの次にはAの高校の吹奏楽部の定期演奏会のチラシ

音楽と縁の深い何かがきっとその時代にあった事を窺わせる、俺の知らない妹1人だけの人生の軌跡を示しているような影

簓「…誰やろ、これ…」

よく見るとその誰かの影は色濃くて、同時に今も何かしらの縁があるような気がして来る

最近、って言ってもAが短大1年の頃のある時の時間の事で、その時期に行われているピアノの演奏会のビラの近くにそこに行っていた事を匂わせる入場券の半券が同時にアルバムには貼り付けられていた

簓「…」

誰だか知らない影に疑問を抱く

それと同時に、Aは音楽を好きだと思っているのかと何だか自分の知らない妹を知って変な気分が芽生える

簓「…何者なんやろ、この男…

音楽の定期演奏会開いとるっちゅー事は、相当音楽の才能のある人間と違うん？」

そない疑問を抱いて、アルバムを俺はそっとしまって今出てきた「結城葵」という名前を調べてみる事に決めていた