キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ17)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:2,596 hit

第62話ページ17

『…まだ紹介できる本は色々あるで

ウチ本読むの少し早い方でな』

そない話をしながらウチが今までに読んだ本の紹介をする

猫もウチの一部やけど、猫はウチにとって味方意識、仲間意識の権化で食糧とかとは違う

ウチは文字を、あるいは本を食材にして生きるようにたくさんの本を読んで、ウチの生命をそれで繋いでいる

盧「…ものすごい読書量なんやな

本の好みは特にないん？」

『何でもおもろいんやったら読むで

物語も評論も、哲学者の歴史を辿る本も何でも』

本を読むのは少し違う世界を歩いているみたいでウチで面白いって感じる

本を読む間は周りの音が何も聞こえなくなって、その世界にウチは引き込まれる

ほんで本の中でなければ出会えない出会いがある

本と対話するように、でなければウチが本の中を旅するみたく、ウチは色んな本を読み漁って生きている

新しい学年に上がって国語の教科書が新しくなればその日のうちに全部教科書を読み切るような人間がウチや

盧「…そういえばお前、文学部行く言うた時国語が得意やったからって言うてたやろ？

言葉が好きだったんとは違うんの？」

『…それは少し違うで

国語が得意やったんは偶然や、古典とか歴史とか外国語の方がウチ得意な自覚あるし』

盧「…」

『現代文はやっぱり少しややこくてな

時代背景が今の時空そのものやから今の世界を知らんとウチでイマイチ分からん事も多くて』

盧「…うちの高校の現代文の先生が今日「国語は生徒からの質問が少ない」って嘆いてたで

お前も現代文はそない得意と違うんの？」

『問題解くのはウチも苦手や

読むだけなら別にええんけど』

盧「…そか」

『半分はセンセの好みも入るやん？』

そない話をして笑てれば突然盧笙はウチを静かに見つめる

『…？』

盧「…真っ直ぐにお前は今まで生きとったんやな」

盧笙はそない言うて少し柔らかい微笑みをウチに向ける

ほんで次の瞬間には、うちに手を伸ばしてその手でウチを抱き込む

『…！』

盧「…不器用な俺にはお前の捕まえ方が分からんよ

でも、お前の事愛してるんや

それは分かって」

『…』

盧「…もう少しでお前の誕生日になるな

このまま、まだ夜更けまで起きとる？」

そない言われ方をして、もうそない時間かってウチで自覚する

『…流石に寝るわ

盧笙に悪い』

盧「…そか

なら、おやすみ」

そない言うて、ウチらは鈍い笑みを浮かべて互いに寝床に向かっていた