第59話 ページ14
盧笙side
盧「…美味かったで」
『…おおきに』
Aに料理を振る舞ってもらって、正直味覚に自信がないって常に本人が言うから変わったもんが出るんと違うんかって普段はしない緊張を抱いて料理にありついた
だけど日本料理によくある素材の味や出汁の味を活かして、旨味をうまく抽出した料理を振る舞うAを見て「こいつの言っている事が本当の事と異なる」という感性を抱く
多分やけどこういう料理を本人は好んでいても、周囲の舌と合わなくて言われた言葉を鵜呑みにして自分の味覚に自信がなくなったんと違うんやろか
でなければAの言う「味覚の鈍さ」は「繊細な味が掴める」、あるいは「普通の人が美味いと思う味付けにAは過敏な反応をする」が正解で、舌が鈍いんと違くてむしろ馬鹿にならないように守って来てるんと違うんやろかって一瞬思う
けどそれを露わにしなければ、そんなん本人の舌でなければ分からんし俺も黙って箸を進めていた
『…洗いもんはやるで
盧笙お風呂入って来て』
こうして俺の事ばっかりを優先して自分が後の事までやるのは普段から「こう」なのだろうか
1人で生活する勝手と2人で共生する勝手は違うのに、俺だけが楽をしている気分になってどこか釈然としない
盧「…お前が早よ入り」
『…?…何で』
盧「俺の後より先に入る方が色々ええやろ
女の子なんやし男の風呂の後は嫌なんと違う?」
そない問いかけをすれば、Aはこう俺に言う
『…嫌やないよ
一番風呂って寒くて嫌なんや』
盧「…」
『せやから、先に入って』
そない言われて、本人がそう言うならと特に疑問も抱かずに俺は「せか」言うてAに台所を任せてしまう
盧「…おおきにな
無理するんと違うよ」
『…大丈夫
慣れとるから』
Aから弱音や秘密を暴けるのはいつになるだろうかとどこかで心に影が刺す感覚を覚える
だけどまさかの理由で、俺はこの日何でAが俺より後に風呂に入りたがってたか理由を掴む事になる−−−−
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星猫 - 続編おめでとうございます!高評価しました! (2021年10月5日 9時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウ | 作成日時:2021年10月2日 16時