キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ13)

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第58話ページ13

－－盧笙の家にて－－

『…できた！』

盧「…！…凝ってるな」

『せか？これ結構普通やと思うんやけど』

ウチは盧笙の家の台所を借りて料理を作る

今日のメニューはひじきの煮物にほうれん草の和え物、ほんでメインは焼き魚の和食の定食みたいなもん

普段からこういうんは簓の帰りがまちまちな事もあって好きでは作らん

でも作り置きは色々便利やしつい常備菜を作ってまうんはご愛嬌ってもんや

盧「…洗いもんは俺やるで？」

『え？魚焼いてる間に殆ど終わっとるよ？

お茶碗とご飯のお皿くらいしかあらへんからええよ』

盧「…俺の気が済まないんよ」

そない言いながら2人でテーブルを囲んで食事にありつく

盧「…」

『…どない？』

味覚に自信のないウチはそう問いかける

因みに普段の簓は「身体に優しい味がするなぁ」とか言いながら平気で調味料を足すから多分味覚が本気で合わないんやと思う

ウチのオトンも、昔はそうやった

盧「…！…お前…」

『…どないしたん？』

盧「お前味覚鈍いんの嘘やろ

逆で繊細過ぎるんと違う？」

『…鈍いんよ

鈍いからこの味になるんや』

盧「違う

素材の味活かしとるやん、塩加減と砂糖の使い方が上手い」

『…』

なんて言うたらええのか分からんくてウチは押し黙る

『…そういう感想はウチは期待してへんかった

味足りなかったら足してええで』

そない言うてウチは普通に自分の舌に合う食事をそのまま普段通りに食べて、盧笙はウチの言葉に何も言わんと料理にとりわけ何も手を加えないまま静かに箸を進めていた