キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ12)

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第57話ページ12

－－Aの自宅にて－－

『…さて』

ウチは最低限必要なウチの服をいくつか選んで家を出る

他にウチで必要に思うもんなんか特にあらんし、他にウチで必要に思っても盧笙の家には大概あるやろから

せやからウチの身支度にそない多くの時間が使われる訳でもない

『…おまたせ』

盧「…お前、荷物それだけか？

持ったるわ」

『…ええよ

ウチで持てる、軽いし』

盧「…なら買い物行ったら俺が荷物持つわ」

『…おおきにな』

盧笙はホンマにウチに色々気遣ってくれるななんて思う

こないええ人間にウチで巡り会えるなんてウチで昔は知らんかったけど、やっぱりウチはあまり信じられない

過去に一回ウチと盧笙に距離が生まれたのもあって、またいずれウチはきっと盧笙と離れて行くんやろなって予測を立てていつも生きている

一緒にいたいって言うんは嘘でない本音にしても、ウチで盧笙と共にいられない理由ならいくつだってある

ウチと盧笙では生き様が全然違うし、何しろウチといても盧笙は「普通」の幸せにはウチで辿り着けない

だからこれは都合の良い一時の夢幻で、それが永遠なものとは違うってウチは一応線を引いとる

そういう風に勝手に都合の良いウチの思考を巡らせては、またウチで繋がりを表面的に存在する偽りに変える

浅くて儚い、脆い夢を見続けるウチはいつも臆病や

『…行こか

あまり遅くなると明日に響くで』

盧「…お前、何作るつもりなん？」

『まだ決めてない

今からウチで見て思いついたもん作るで』

笑顔でウチのあらゆる悪い癖をウチで隠して、他人の空似みたいにウチをウチで隠す

弱い心をウチで隠して、誰かに奪われた事もないからそれを取らせる事のないようにとウチで必死に守って誰かに与えたりはしない

その事に果たして、何の意味があるのかはウチも知らんのに

盧「…お前の料理の味は想像つかんな

どない料理作ってるん？普段」

いい加減でたわいもない話をウチで繰り出しながら、ウチは盧笙と夜のオオサカの街を2人歩いていた